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2019年6月11日のマーケット・コメント

トランプ大統領が残りの3,000億ドルに対する関税発動に言及-中国はどう出る?

 

昨日トランプ大統領は、今月末のG20の際に、米中首脳会談が行なわれなければ、現在課税対象となっていない合計3,000億ドルの中国製品に対して、直ちに25%もしくは25%よりもはるかに高い制裁関税を発動する、と表明しました。トランプ大統領は「習主席はG20に参加すると理解している。中国は取引せざるを得ない状況であるため、取引に応じるだろう」と述べ、習主席がG20を欠席しないよう釘を刺しました。

 

これまで何度かご説明してきたように、米国が要求している以下の2点を中国は合意することは出来ません。

1.中国が今後は、知的財産権を重視し、技術盗用が行なわれない体制を構築すること。

2.中国が合意した内容を実行しているかどうかを、米国が確認・検証する期間を設けること。

もし1.を認めたら「これまでは技術盗用を行なってきた」ことを認めることになりますし、もし2.を認めたら「米国による一方的な確認・検証」ということになり、中国が主張してきた「中国と米国は対等の関係」と矛盾してしまいます。

 

昨日のトランプ発言を受けて、習主席は窮地に追い込まれました。考えられるシナリオは以下の三つです。

1.習主席は、米国が中国側の主張を受け入れる姿勢を見せない状況では会談を持つことが出来ない、と米国が原因で会談を行なわないとして、G20には習主席は参加せず、中国からは代理人が参加するに留まる。この場合は、トランプ大統領は3,000億ドルに対する制裁関税を発動する。

2.習主席は、G20に出席し米中首脳会談が予定されるも、直前になって体調不良を理由にG20は欠席となり、中国からは代理人が参加する。この場合は、制裁関税発動は微妙。代理人に近い将来の習主席の訪米、米中首脳会談の米国での開催を約束させれば、発動は猶予されると思われるが、代理人がそれを約束できるとは思えない。(自分のボスが米国に出向いて恥をかきに行く約束など出来ない。)

3.習主席は、予定通りG20に出席し米中首脳会談に臨むが、合意に向けた交渉の継続の意志を確認するにとどめ、具体的内容は引き続き閣僚級会合で詰め、合意が見えた段階で訪米し、もう一度米中首脳会談を持つことを約束する。この場合は、トランプ政権が交渉の期限を求めると思われ、期限までは関税発動は猶予されるが、中国が譲歩できない状況は変わらず、単なる時間稼ぎに終わり、期限到来で関税発動。

 

私が考える各シナリオの確率は、1.が50%、2.が30%、3.が20%です。いずれにせよ市場にとってはネガティブですが、反応を始めるタイミングが変わってきます。1.なら習主席がG20不参加を表明した時、2.なら体調不良による欠席が発表された時、3.なら交渉期限が近づいた時、となるでしょう。ただ、4-6月期業績不振で7月後半からは株式市場下落が予想されますので、仮に3.になるとしても6月中にカラ売り体制を整えておいて悪いことはないでしょう。

 

昨日のコメントでは、6月19日FOMC後に日本株は絶好の売り場が来るのではないか、とご説明しましたが、FOMCに向けて米国株上昇が継続するようであれば、FOMC直前に売るべきかもしれません。どちらにせよ、日経平均は21,430円(5月20日)の直近高値を抜くのは難しいと考えます。同水準には75日線も位置しています。