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2019年8月16日のマーケット・コメント

米国株と米国債券の相関に明らかな変化-市場波乱の兆候か

 

前回のコメントで「今年の米国株は、予想EPSに変化がない中、もっぱら長期金利低下によるPER水準の切り上がりで上昇した」ということをご説明しました。「長期金利低下(債券上昇)→ PER上昇 → 株上昇」ということですから、単純化すると「債券高株高」ということです。年初からFRBの度重なるハト派シフトを受けて、米国長期金利が低下を続け、それが米国株上昇を支えてきました。

 

ところが昨日の米国市場で、この相関が明確に変化しました。一昨日あたりから変化の兆しはあったのですが、昨日は明確に「債券高株安」という相関になりました。昨日1日の米国市場の動きを振り返ると、米国10年国債利回りは日本時間午前2時30分頃に急低下し、一時1.47%となりました。米国株はこの動きを受けて1%近く急落しました。その後金利低下が一服すると米国株も戻して引けました。(添付ファイル参照)

米国10年国債&SP500 20190815

「債券高株高」が理屈で説明できることを前回のコメントでご紹介したばかりで恐縮ですが、実は債券と株の本来の相関は「債券高株安」なのです。景気後退局面では金融緩和的な政策が取られ金利低下(債券上昇)し、一方で景気後退による将来の業績悪化を織り込んで株は下落する、という理屈です。「債券高株高」と「債券高株安」という、いわば真逆の相関のどちらも理屈として正しい、ということが、まさに「市場は不変の理屈で動いているわけではない」ということの表れです。昨日の米国株の動きは、株式市場が低下を続ける長期金利を見て、将来の業績悪化を懸念し始めた、と言えます。

 

ではなぜ、年初からずっと続いてきた「債券高株高」から「債券高株安」に変化したのかですが、それは金利低下のスピードがあまりにも速いことが理由だと思います。米国10年国債利回りは、昨年末に2.685%でした。これがFRBのハト派シフトを受けて3月には2.40%まで低下、一旦2.50%台を回復するも、5月には2,000億ドルに対する関税率の10%から25%への引き上げを受けて、一気に2.10%まで低下、更に今月は3,000億ドルへの関税発動表明を受けて、7月末の2.015%からたった2週間で一時1.5%割れまでの低下です。

 

米国株式市場としては、年初来これまで、企業業績にも主要経済指標にも大きな問題が見られず、業績先行きに不安を感じていなかったところ、米国債券市場が合おう低をはるかに上回るペースで景気後退を織り込むのを目の当たりにし、先行きの業績悪化懸念を意識せざるを得なくなってきたのでしょう。VIX指数も警戒水準とされる20を越えて推移しており、米国株の急落に警戒が必要です。

 

逆に、ドル円は米国長期金利低下とともに、5月以降下落が続いていましたが、昨日米国金利が急低下しても小幅で一時的な下落に留まりました。「日米長期金利差縮小 → ドル円下落」という、これまでの相関に変化が出てきた可能性があり、今後の動向を注視していきます。