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2019年9月11日のマーケット・コメント

バリュー株相場の持続性

 

昨日のコメントで指摘しましたが、日本株市場で、業績堅調で年初来の株価の上昇が大きくPBRが高い銘柄を売り、業績不振で年初来の株価動向が冴えずPBRが低い銘柄を買う動きが、本日は加速しています。この動きは日本株に限らず世界的に起こっていますが、日本株は米国株などに比べ全体に占めるバリュー株(多くは重厚長大型の景気敏感銘柄と金融)の割合が高いため、全体としても米国株に対してキャッチアップする動きとなっています。

 

この「バリュー株相場」の背景と経緯を振り返ることで、その持続性を考えます。まず背景ですが、業績動向に沿って年金などの中長期資金のファンドマネージャーは、本決算発表があった5月以降に、業績堅調な「グロース株(高PBR銘柄)」をオーバーウェイト、業績不振な「バリュー株(低PBR銘柄)」をアンダーウェイトに持っていったはずです。その結果、グロース株の対バリュー株のパフォーマンスは、過去10年間で最大の格差となっていました。

(添付ファイル参照。グラフ線の上昇はバリューに対してグロース優位を意味する。)

バリュー対グロース 20190911

その行き過ぎ感から徐々にバリュー株が持ち直してきたところに、米国長期金利が9月5日以降に急上昇したことで、米国株市場でバリュー株相場が加速し、日本株市場でもその動きが加速している状況です。現在ファンドマネージャーが行なっていると思われることは、グロース株のオーバーウェイトを中立に(保有を減らす)、バリュー株のアンダーウェイトを中立に(保有を増やす)することです。その結果が、グロース株が売られ、バリュー株が買われているのです。景気回復を織り込んでの行動ではなく、リスクを減らして中立化を図る動きです。

 

つまり、2016年後半のように、景気回復を織り込んで積極的にバリュー株を中心とする景気敏感銘柄を買った局面とは違い、バリュー株のアンダーウェイトを解消したら買いは終了します。また、明らかに米国長期金利の上昇が今回のバリュー株相場を加速させた要因なので、米国長期金利の上昇が明確に止まってもバリュー株相場は終了するでしょう。以前から折に触れご説明していますが、リスクを解消する行為には余り時間をかけないものです。カラ売りの買い戻しは典型的なリスク解消で、主体も短期投資家であるため、その行為は非常に短期間(数日間)で行なわれます。現在行なわれている「バリュー株のアンダーウェイトの解消」もリスクの解消です。ただ主体が中長期投資家であるため、カラ売りの買い戻しよりは持続期間は長くなると思われますが、それでも数週間程度で終了するでしょう。

 

これまでにバリュー株相場が数ヶ月続いた2016年後半や2012年から2013年にかけて、2009年半ばの時期には「それまでのバリュー株の急落(セリング・クライマックス)」と「景況感の底打ち」がセットで存在しました。今回のバリュー株相場では、そのどちらも存在せず、持続期間がせいぜい数週間という見方を裏付けます。(この点はJPモルガン証券の阪上ストラテジストも指摘しています。)

https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL09HWI_Z00C19A9000000/

 

米国金利上昇の明確な終了が起こるとすれば、そのきっかけとして最有力候補が9月18日のFOMCでしょう。0.25%の利下げは規定路線ですが、今後の追加利下げに前向きな表現となれば、再び米国長期金利は低下基調に戻るでしょう。また、10月から11月に行なわれる7-9月期業績発表で、足元の業績が悪いことは織り込まれているとしても、下期の回復が示されなければ、再び業績懸念からバリュー株が売られるという展開となるでしょう。

 

結論としては、目先はバリュー株相場に追従することに問題はないが、早ければ来週、遅くとも10月半ばには終了するという割りきりが必要、ということです。