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サンプル:マーケットコメント

以下サンプルがいくつかありますので、下にロールダウンしてご覧ください。

 

2016年8月26日

 

昨日の「日銀買い入れ出動」で判明した2つのこと

 

昨日後場の動きから、日銀は買い入れを見送った可能性が高い、と思いましたが、夕方の発表で実際は707億円の買い入れを行っていたことがわかりました。この事実から2つのことが判明しました。

 

1.買い入れ出動基準

8月4日(買い入れ出動):日経平均 0.39%、TOPIX 0.25%

8月10日(買い入れ出動):日経平均 0.29%、TOPIX 0.41%

8月23日(出動せず):日経平均 0.22%、TOPIX 0.27%

8月25日(買い入れ出動):日経平均 0.25%、TOPIX 0.32%

でしたので、基準は一昨日にご説明した、

「1.前場引け時点で」「2.日経平均、TOPIXともに」「3.前日比0.25%以上下落」で、「4.日銀は後場にETF買い入れ出動」が基準

で、どうやら間違いなさそうです。今後も検証を続けます。

 

2.日銀買い入れによる「実需ベース」の市場インパクト

私も含めて、昨日後場に日銀が買い入れを行っていると感じた方は、皆無に等しかったと思います。すなわち日銀買い入れに乗ろうという「思わく」による売買はなされていなかったと考えられます。また、昨日後場は為替、債券、海外市場など、日本株にとっての外部環境は穏やかな推移でした。誰も買い入れを行っていると感じなかった昨日の後場ですが、実際は707億円の買い入れを行っていた、ということでしたので、「実需ベース」の市場インパクトが浮き彫りになったと言えます。

前場引け時点で、日経平均は前日比0.25%の下落、TOPIXは前日比0.32%の下落でした。日銀が後場707億円買い入れた結果の大引けでは、日経平均が前日比0.25%の下落、TOPIXが前日比0.19%の下落でした。つまり、日経平均で見ると市場インパクトはゼロ、TOPIXで見ると市場インパクトは0.13%でした。日銀ETF買い入れの実需ベースでの市場インパクトは、やはり「まったくゼロではないが、はっきり感じられる規模ではない」ということです。

 

本日は前場引けで、日経平均は前日比0.65%下落、TOPIXは前日比0.7%下落ですので、全員が「後場に日銀の買い入れが入る」と考えているでしょう。今日の後場は、「思わく」がどのような市場インパクトに繋がるのか、注目です。

 

 

2016年5月10日

 

昨日の麻生発言の印象

 

昨日、参議院予算委員会で麻生財務相は「為替介入する準備ができていると申し上げる」と発言し、それを受けて円安ドル高進行となっています。しかし、私が受けたのは、実際には為替介入はできないから、あえて強気な発言をした、という印象です。実際に介入するつもりならば、事前予告などせずにいきなり実行したほうが、市場への効果が高いのは明らかだからです。

 

振り返ると、「投機的で急激な市場の動向に対しては、為替介入が正当化される」という合意を取り付けるべく望んだG20では、逆に米国に為替介入に釘を刺される結果となり、さらに米国財務省は4月29日公表の資料で、日本を為替操作の「監視対象国」に加えたことを明らかにしました。それを受けて麻生財務相は「そのこととは関係なく、必要とあらば為替介入も辞さない」と発言しましたが、為替介入と言う手段は事実上封じ込まれた、と見ていいでしょう。実際には介入はできないので、せめて口先介入を行なった、というのが昨日の発言だと思うのです。

 

インフレ期待は、政府・日銀の思惑とは逆に、低下傾向であることは事実であり、国内景気の低迷も鮮明です。日銀は4月28日に発表した「経済・物価情勢の展望」レポートで、2016年度のインフレ見通しを前回(2016年1月)の+0.8%から+0.5%に引き下げました。また同レポートで、2016年度の実質GDP成長率見通しは+1.5%から+1.2%に引き下げられました。インフレ期待の低迷に関して、以前から黒田総裁はその原因を「原油をはじめとする資源価格の大幅下落」と説明していました。しかし、資源価格は2月半ばに底打ちした後、相当程度反発しており、その説明はもはや不適切でしょう。現在説明を行なうとすれば、原因は低迷する国内景気と円高進行だ、ということになるでしょう。その状況を変えるために、政府・日銀は何らかの対策を打たなければならない時期に来ていることは明らかです。

 

為替介入ができないとすると、急浮上してくるのが、10兆円規模の大型財政出動の可能性です。低迷する国内景気対策ということに加え、熊本地震という不幸な災害があったことで大義名分は立てやすいでしょう。またG20でも、積極財政出動は問題ないとされました。財政出動の内容は、これまでのような公共投資ではなく、低所得者や高齢者に対する減税や給付金など、いわゆる「バラマキ型」の内容になるでしょう。そして、10兆円規模、場合によっては20兆円規模の財政出動を行うとなれば、その財源は国債発行しかないでしょう。財源を中央銀行が供給し、それを政府が国民にばら撒くと言う、今話題の「ヘリコプター・マネー」型の政策です。

 

通常なら国債発行の大幅増額は、国債市場の需給を大きく崩します。しかし今は日銀が年間80兆円という、新発国債のおよそ2倍の規模で国債を買い入れており、消化には何の懸念もありません。また、同じく国内景気低迷を理由に、2017年4月からの消費増税も見送られる可能性が高いでしょう。これらは財政健全化とは間逆を向く政策であり、通貨下落要因です。すなわち、形を買えた円高対策でもあり、政府としては一石二鳥というところです。

 

これまでの安倍首相の実績を振り返ると、主なものは以下です。

1.第3の矢と位置づけられた成長戦略は、不発に終わっている。特に、既得権益者を打破するような岩盤規制の規制改革には、まったく踏み込んでいない。

2.財政健全化を図ると言っておきながら、それとは真逆の、しかし国民のほとんどが望む消費増税の延期を実行した。

これらを考えると、安倍首相は「国民全員から人気を得たい。誰からも恨みを買いたくない。」という軸で行動してきたと言え、サミットや参議院選挙が控えているということもあり、大規模バラマキ財政出動を行なう可能性は高いといえるでしょう。

 

しかし国民の人気を得て、またごく短期的には市場にも好感される(円安株高)かもしれませんが、中長期的には大きなリスク要因になります。どこからどう見ても「財政ファイナンス」だからです。日本の場合、通貨問題と言えば、常に円高進行をどうやって食い止め、円安に持っていくか、でした。しかし、日本はむしろ特殊な例であり、過去も現在も、国家が苦しむ通貨問題は、財政規律を無視した結果、通貨下落の歯止めが利かなくなることです。

 

企業業績発表が進み、2016年度の業績見通しが予想以上に弱いことが徐々に明らかになってきています。株価の下落要因です。業績不振の原因は、想定どおり中国をはじめとする新興国の経済成長鈍化であり、国内景気不振ではありません。つまり、バラマキ型の財政出動がなされても、業績不振を改善させる効果はほとんどありません。とはいえ、目先は株価下落に引っ張られて円高進行する可能性が高い状況だと思いますので、まだ積極的にドル買いをする局面ではないと思います。しかし、バラマキ型の財政出動が打ち出され、日本株下落でも円安進行するようになったら(円安株安)、それはまさに待ち望んでいた状況であり、本腰を入れてドル買いを再開すべきです。

 

2016年1月4日

 

2016年波乱の幕開け-世界的に株式市場は新たな下落波動の始まり

 

大発会の本日は、まさに「大荒れ」となりました。寄り後しばらくは堅調な展開でしたが、中国市場が開き、予想以上に弱い12月のPMI指数の発表を受けて大幅下落で始まると、日本株は急落、ドル円も株下落に引っ張られ、急激に円高ドル安進行となりました。中国株は、結局下げ止まらずに7%下落し、新規設定されたサーキットブレーカーが発動し、14時33分に終日取引停止となりました。

 

中国株がこれだけ下落したのは昨年8月以来初めてで、上海総合指数は支持線となっていた75日移動平均線を明確に下抜けたこと、年が明け新四半期入りし、中長期投資家の株式保有削減が起こりやすくなったこと、サウジアラビアとイランの対立という新たな悪材料が発生したことなどを考えると、昨年8月と同様に株式市場は世界的に新たな下落波動が始まったと見ていいでしょう。下落波動の大きさが15%下落、日経平均の下げ始めを年末終値の約19,000円だとすると、下値めどは16,150円ということになり、9月の安値16,901円を更新することになりそうです。

 

ドル円は、株急落となった本日は、昨年8月と同様に円高ドル安方向に引っ張られました。(ただし昨年8月に比べ現在はドルロング&円ショート・ポジションがそれほど積み上がっていないために、昨年8月のような暴力的な調整につながりませんでした。)しかし、ファンダメンタルズから円高ドル安進行する理由は何もなく、昨年9月に見られたように株下落が続いても、短期ポジションの調整が終わってしまえば、120円台回復は早そうです。ただ、移動平均線が集中する121円台前半は重くなった感があり、そこを上抜けるためには米国で強い経済指標が発表され、3月再利上げ観測が強まる必要があるでしょう。

 

ところで以前から何度か、昨年からの株式市場の動きと2007年から2008年の動きの相似性を指摘してきましたが、2008年の大発会も日経平均は617円安と急落でした。「偶然の一致」でしょうか・・・。昨日発売の日経ヴェリタスに恒例の相場見通しアンケートが掲載されていますが、現状ですでに多くの悪材料が顕在化しているにもかかわらず、前回にも増して私の予想の弱気度が際立っていることが、正直言って不思議でなりません。

 

今年も周囲の雰囲気に流されず、独自にロジカルに考えたコメントを出していこうと思っています。本年もよろしくお願いします。

 

2015年8月26日

 

昨日の米国株の引けかたの意味&中国株価対策(利下げ)不発

 

昨日、中国株は大幅続落し、ついに上海総合指数は防衛ラインとみられる3,000ポイントを割り込み、中国政府による株価対策発表期待から、昨日は日本株の引け後に世界的に株価上昇し、中国での利下げが発表されると一段高しました。しかし、米国株は引け際に急落しました。引け際のわずか1時間にNYダウは500ドルも下落し、結局6日続落となりました。1時間で500ドル安という規模を考えると、これは投機筋の仕掛けではなく、明らかに大口の投資家の株式持ち高の削減です。

 

前回のコメントで、「目先は中国政府による株価対策で反発が予想されるが、戻ったところは売り」とご説明しました。その通りの行動を取った大口の米国株投資家がいたということでしょう。この動きが意味するところは、やはり大手中長期投資家が、株式への資産配分の変更(削減)を行ってきているということであり、世界的に株式市場が下落トレンド入りしたことが確認された、ということです。

 

中国政府の株価対策ですが、最も安易で、ある意味最もまっとうな「利下げ」という手法でした。株式市場の実需を直接生み出す「株の買い支え」的なものではなく、その株価下支え効果には、はなはだ疑問が残ります。実際に、先ほど中国株が始まりましたが、上海総合指数は高寄りした後すぐに失速し、早くもマイナス圏での推移となっています。NYダウ先物も、昨日の引け際に500ドルも急落した後にも関わらず、前日比マイナス圏での推移となっています。

 

日本株は、問答無用で売られた大型優良株のうち、好業績銘柄に個別の買いが入り、本日ここまで(午前11時30分時点)は、とりあえず堅調な推移となっていますが、資産配分変更により売却対象になるのは本日買われている銘柄群であり、個別物色がどこまで機能するのか定かではありません。市場全体としては、昨日日中とイブニングと2度戻りを試した後だということと、海外市場の軟調な展開を考えると、次は月曜日のイブニングで付けた日経平均先物の安値17,160円をトライしに行く可能性が高いと思います。テクニカルの教科書通り、以前の19,000-21,000円のボックスは、17,000-19,000円にシフトしたと思います。(ボックスの下限を明確に割り込むと、以前のボックスの下限が新たなボックスの上限になる。)19,000円近辺は、他にも200日移動平均線、下げの半値戻りというフシでもあります。

 

ドル円に関してですが、月曜日のNY時間に116円割れ寸前まで一気に急落した局面で、ポジション解消しなければならないドルロング&円ショート・ポジションはほぼすべて解消されたと思います。昨日今日は、日本株の動きに引っぱられる動きになっていますが、株安を受けての円高進行は、ドルロング&円ショート・ポジションの投げではなく、ドルショート&円ロング・ポジションの構築の動きだと思われ、これには2つの意味があります。株が急落したとしても月曜日のような暴力的円高進行は起こらないことと、ドルショート&円ロング・ポジションの積み上がりは将来の円安ドル高進行のエネルギーになることです。

 

結論としては、日本株は完全に下落トレンド入りしたと思われるため、基本的には売り姿勢だが、もし17,000円トライの動きがあればトレーディング買い、19,000円トライがあれば積極的にカラ売り。ドル円は、現状水準は絶好の買い場で、もし株下落に引っ張られて円高進行するようなら、ある程度のポジションリスクを取ってでも買い下がり、です。

 

2012年2月22日

 

いよいよ円、日本国債大暴落シナリオの始まりか?

 

日本株の反発が続いています。この背景は昨年株式への配分を大きく落とし、そのため最近の株の反発に乗れなかった中長期投資家が「今度こそ乗り遅れまい」という需給的要素が強いように思いますが、長きにわたった円高から待ちに待った円安への転換、ということも少なからず日本株、特に反発相場をリードしている大型海外景気敏感銘柄への買い安心感を与えていると思われます。そこで、今後の為替動向とその影響について考えてみたいと思います。

 

まず、財政状況も景気も決していいとは言えない日本の通貨である円が、どうしてここまで高くなったかを考える必要があるでしょう。その理由は2つあると思います。

 

一つは、為替レートというものは、シーソーのような相対的なもので、円の価値が変わらなくても相対の相手であるドルやユーロの価値が下がれば、必然的に円高ドル安、円高ユーロ安になってしまう、ということです。ユーロ圏の混乱、米国のドル安政策により、相対的に価値下落が限定的だった円の相対価値が上がりました。

 

もう一つは、日本は国内の財政状況は悪いが、公的部門(国及び地方自治体)の債務のほとんどは国内完結しており、対外債務は少なく対外債権は多く、ネットでは大幅な対外債権国であるため、通貨の安全性は高い、ということです。そのため「リスク回避通貨」とみなされ、世界情勢が不安定になるとリスク回避行動の一環として円買い需要が発生してきました。

 

したがって、上記の2つの状況が今後も続くようであれば、引き続き円高進行ということになりますし、状況に変化があれば長きにわたった円高トレンドから円安トレンドに転換ということになります。

 

まず、相対比較の相手である米国およびユーロ諸国の状況は、今後どうなるでしょうか。ユーロ諸国に関しては、今後混乱が収まる可能性も、混乱がさらに深まる可能性もどちらもあり微妙なところではあります。ただ、米国は最近の企業業績を見てもやはり「底力」を感じます。今すぐではないにせよ、いずれ日本との相対比較で米国の状況は良くなっていくでしょう。すなわち、いずれ円安ドル高進行となるでしょう。

 

日本の財政状況はどうでしょうか。今にも財政破綻が始まることを市場が織り込み始め、国債は大暴落するという意見がありますが、私はそうは思っていません。日本は経済規模が大きく、また長きにわたり貿易黒字国でありましたので、過去からの蓄積が相当あるがために財政破たんなどまだ数十年は起きないと思います。例えば、今話題になっている国民年金は、制度を100年もたすには足りないかもしれませんが、それでも過去からの積立金が140兆円以上あるのです。ただし、「あること」が起きると話は急展開していく公算が大きいのです。

 

「あること」とは、「限度を超えた円安進行」です。

 

現在、日本経済や日本企業の業績の低迷の元凶が円高であり、円高対策をしないと大変なことになる、円安になれば苦しさから救われる、というような論調が世の中を支配しているように思います。確かに、多くの製造業企業の経営者や外貨投資、株式投資をしている投資家は、円高には散々苦しめられてきたという思いは強いでしょう。ただ、一般消費者は円高進行で何か困ったことがあったでしょうか。個人輸出でもしていなければ、何もなかったはずです。

 

一般消費者は円安進行となるとどうなるでしょうか。一番わかりやすいのがガソリン価格です。10年前と比べてドル建ての原油価格は約3倍になっています。一方ドル円レートはおおよそ120円だったものが80円になっています。つまり、ドル建てだと3倍になっていたものが円建てだと原油価格は1.8倍の上昇に抑えられた、ということです。ガソリン販売価格は、10年前はレギュラー1リットル95円位でしたので、販売店の利幅の縮小や合理化効果などにより1.4倍しか上昇していません。今後も新興国からの需要は今後も旺盛なことは確定ですから、ドル建ての原油価格は紆余曲折はあれども、傾向としては上昇が続くでしょう。したがって、円安になったら円建ての原油価格は跳ね上がり、販売店の利幅縮小や合理化も限界にきていることから、ガソリン販売価格も跳ね上がる、ということになります。これは輸送コスト、エネルギーコストの増加に直結しますので、随所に悪影響が出てくることは言うまでもありません。

 

それでは、円安メリットを受けられる輸出関連企業の業績はどうなるでしょうか。円高は最近始まった問題ではなく、1985年のプラザ合意以降、長きにわたって「円高対策」が輸出関連企業の大きな課題でした。日本企業は努力と工夫を重ね、生産拠点の海外移転を進めるなどして「円高デメリットの縮小」に努めてきました。ただ、それは当然裏を返せば、「円安メリットの縮小」であり、円安進行によって国全体の「円安デメリット」を相殺するほどの「円安メリット」は出てきません。

 

85円位までの円高は皆手放しで喜び、日本の輸出企業の株も買われるのでしょうが、90円台を円安進行するころになると、国全体としてはメリットよりもデメリットの方が大きいのではないか、という意見が徐々に台頭し、100円を超えるころには「どうしたら急激な円安進行を止められるのか」ということに議論の矛先が向く、というイメージではないでしょうか。

 

為替が明確に円安トレンドに転換、ということになったら企業はどのような行動に出るでしょうか。現在、任天堂のような例外を除き、日本企業は余剰資産(金融資産)をほとんど円で保有しています。為替が円高進行してきたわけですから、それは大正解だったわけです。しかし、円安進行が続くとなれば、円での保有は海外投資をする際にどんどん不利になりますので、すべてとは思えませんが少なくとも一部を外貨(おそらくドル)で保有しようとする動きが出てくると思われます。その際には、円を売ってドルを買うということになりますので、円安進行を加速させるばかりでなく、国内金融機関に置いていた円の一部が海外金融機関に移転することになると思われますので、国内金融機関の預かり残高が減少し、それは国債の消化の問題を加速させます。(国内金融機関で外貨を保有することもできますが、それによるメリットがないため、金融機関に対して強気な姿勢に出ることができる財務内容の良い好業績企業ほど海外金融機関への移転を行うでしょう。)

 

個人富裕層も同様な行動に出るでしょう。個人の場合、資産を円で保有する理由が企業以上に無くなる人が多いと思われるため、企業よりももっと大胆な資産の海外移転を行うことも予想されます。日本で生活する強い理由がなければ、資産移転だけでなく海外移住する人も増えるでしょう。それはやはり国内金融機関の預かり残高減少につながります。

 

以上でおわかりのように、「限度を超えた円安進行」は日本の財務問題直面への時間を一気に短くしてしまうのです。円安進行と国債大幅下落は同時には起こりません。まず円安が進行し、「限度」を超えたところから国債の大幅下落が始まる、ということです。「限度」がドル円でいくらかですが、早ければ100円でどんなに遅くても120-130円だと思いますので、おそらくその間のどこからか国債大幅下落の動きが始まるのでしょう。

 

個人富裕層の海外移住だけではなく、資産の海外移転とともに税金の支払いを低くするために、本社を海外移転する日本企業が出てくる可能性もあります。それが起こると税収減につながり、財務問題直面への時間をさらに短くすることになります。ただ、これはある税制が障害となり、行われにくくなっています。本社を海外に移転する場合、日本の会社を清算して海外の会社を設立、日本の会社の株式は海外の会社の新株と交換、という手続きになるのですが、これを行うと株式交換の際に従来の株は税制上では売却したとみなされ、簿価との差額が売却益として課税されてしまうのです。財務省は税収源を海外に逃がさないために、直観的にはおかしな税制を考えたのだと思います。

 

このような展開が予想される中、政府が取るべき政策は、「円を国内で使ってもらうように仕向けること」だと思います。昨年末のレポートでも書きましたように、国内での新規の設備投資や雇用に対して税制優遇制度を設ける、ということが一つ考えられます。自社株買いしてそれを消却することも、税制優遇制度の対象にすべきでしょう。そうすれば企業の余剰資産が減少し、海外移転してしまう資産額も減少するはずです。人口減少対策も中長期的に非常に重要ですから、外国人の新規雇用を一層後押しする政策も必要でしょう。

 

では我々はどうするべきでしょうか。政府が上記のような対策をしてくるのがいつになるのかわかりませんので、それまでは自己防衛として自分の金融資産のうち可能な額を米ドルにし、できればそのドルで資源価格連動商品に投資することだと思います。そうすれば円安進行だけでなく、資源価格上昇リスクも回避できます。その場合、金とか原油とか特定の資源ではなく、広範囲をカバーするCRB指数連動のものがいいでしょう。特に金は米ドルと逆相関するリスクがありますので、金に集中することは避けるべきです。

円資産では、債券など金利商品には一切投資すべきではありません。日本株はよくてボックス、普通に考えれば上げ下げしながら右肩下がり、と予想されますので、上昇でリターンを狙うだけでなく、割り切って下げ局面では下げでリターンを出すような投資を行うのがいいでしょう。現物株でカラ売りすることに色々な意味で抵抗があるなら、先物を使えばいいのです。

 

米国の景気が本格回復の兆しを見せ、金融緩和策の「出口戦略」が議論されるようになるのは、早くても来年以降だと思われ、したがって「限度」を超えて円安が進行するにはまだ時間があると思います。ただ、次の世界的弱気局面が訪れ株安ドル安円高となった場合には、どう行動するか考えておく必要はあると思います。以前からお伝えしているように、私は今年秋頃に次の弱気局面が来る可能性が高い、と思っています。

2012年1月23日

 

日本株反発の行方

 

前回のレポートで指摘した通り、内需売り外需買いの流れで、日本株の反発が続いています。そこで、短期的な相場見通しをお伝えします。

 

ここ数日の景気敏感大型株の値動きを見ると、明らかに中長期投資家の一部が日本株に買いを入れてきています。年明けてからアメリカ株の動きは予想以上に強く、多くの中長期投資家がアメリカ株の上昇には乗れていないと思われる状況で、その一部がしびれを切らして出遅れ感から日本株に買いを入れてきている、ということが背景にあると思います。昨年からレポートで何度もお伝えしたように、中長期投資家は2011年に株式の資産配分比率を相当低下させ、年明けに中長期投資家の一部が日本株(を含む各国の株)にいつから買いを入れてきてもおかしくない状況でしたので、このタイミングで始まったんだ、という思いです。

 

この流れを一時的に止める可能性がある要因は二つあると思います。それは、アメリカ株の調整と日本企業の10-12月期業績発表です。

まずアメリカ株についてですが、12月20日以降、日時でも日中でもボラティティが低いまま上昇を続けており、相場の基調が強いことがうかがえます。しかし、短期的にはそろそろ軽い調整が入りやすいことも確かで、今週のFOMCあるいは来週末の雇用統計がそのきっかけになる可能性があります。

 

日本企業の10-12月期の業績発表については、発表内容は良くないだろうと思われます。ただ、市場の期待値も高くないと思われることから、業績発表初期(今週から来週前半くらい)はむしろ「悪材料出尽くし」と捉えられ、株価の反応はポジティブ・バイアスになると予想します。業績発表中盤(来週後半)以降は、今期来期の業績懸念が徐々に市場に台頭し、株価の反応は中立からネガティブ・バイアスに徐々に変化していくでしょう。株価が高い水準にあったら、よりその可能性は高まります。

 

従いまして、以上のことを合わせて考えると、今月いっぱいくらいは現在の内需売り外需買いおよび過去数カ月間のリターン・リバーサルの流れが続き、日本株は戻りを試すが、2月は一旦調整局面となる、と考えられます。調整局面といっても、まだ多くの中長期投資家が株式の資産配分を増やしているとは思えず、値幅、期間ともに軽微なものになるでしょう。安値のめどは、NYダウで12,000、日経平均で8,400円程度だと思います。

 

その後、再び株式市場がボトムアウト、反転してきた際には、多くの中長期投資家が「今度こそ株式市場の上昇に乗り遅れたくない」と考え、株式の資産配分比率を増やしてくるでしょうから、3月4月は戻り高値を試す展開になるだろう、という見方は依然と変化ありません。その際の日経平均の高値めどは、メインシナリオとしては9,700-9,800円で、これがはずれるとすれば上(10,000円を超え、最大10,500円程度まで上昇)だと思っています。

 

また、今からそんなことを心配するな、とご指摘を受けそうですが、5月以降、徐々に大きな調整局面が進行し、10-12月には昨年の安値を大きく下回るだろう、との見方にも変化はありません。

 

2011年12月29日

 

日本株出遅れの理由と復活への条件

 

今回のレポートは雑感のようなものです。リーマンショック以降、明らかに日本株は欧米株に比べて上昇する時たいして上がらず、下落する時は同じかそれ以上に下がって来ています。日本株を扱うものとしてはどうしても「日本贔屓」になりがちなので、できるだけ客観的に考えてみました。

 

まずは下の表を見てください。主要国株価指数のPER、PBR、ROE、配当利回り、リーマンショック後の安値から現在何%上の水準か、です。

 

PER PBR ROE 配当利回り 2009年安値比
TOPIX 15.01 0.87 5.8% 2.6% 2.7%
S&P500 12.64 2.03 16.1% 2.1% 87.5%
FT 9.87 1.59 16.1% 3.9% 59.1%
DAX 9.66 1.19 12.3% 4.2% 60.8%

 

 

ご覧いただけますように、日本株(TOPIX)はリーマンショック後の安値にあとわずかに迫っている一方で、PER、ROE、配当利回りで見て、他の市場に対する割安感はありません。

 

これは今に始まったことではありません。私が運用の世界に入った1990年当時はTOPIXのPERはS&P500の3倍位の水準でした。(はっきり覚えていませんが、S&P500が17倍、TOPIXが50倍くらいだったと思います。)

運用の世界に入ったばかりの私には、なぜそこまでの違いがあるのかまったくわからなかったので、当時日本株運用を長く経験していた先輩に訪ねました。すると「日本株の7割は持ち合いで持たれているので、その分は市場には出てこない。だからその分は発行株数から引いて考えなければならないんだ。それを調整すると日本株のPERは米国株と同じくらいになるんだ。」と言われました。すっきり納得はできませんでしたが、そういうように考えなければならないんだ、と思いました。

 

もっと年配の人は「日本は欧米よりも経済成長力が高いから、PERは欧米より高くて当然だ。」と言っていました。別の人は「日本は金利水準が欧米よりも低いので、益利回り(PERの逆数)や配当利回りは欧米よりも低くなっている。」と言っていました。

 

1.持ち合い

過去20年間で持ち合いは相当解消されました。そもそも持ち合いの分だろうが、金庫株(消却していない自社株)だろうが、常に売却される可能性はあるので、発行株数から差し引くなどという考え方はおかしいです。

 

2.経済成長力

2011年の現在では誰一人「日本の方が欧米よりも経済成長力が高い」などと考えてはいないでしょう。人口動態から見ても、日本はいち早く1990年代前半に生産年齢人口がピークアウトし、2005年-2010年にピークアウトした多くの欧州国や今まさにピークアウトしつつある米国に比べて不利な状況です。日本は海外からの移民受け入れも消極的で、工場の海外移転で国内雇用も減っており、国内需要はこのままだと趨勢的に欧米よりも早く減少が進みます。

 

3.金利水準

確かに金利差はPERや配当利回りの違いを正当化するものかもしれません。ただ、今となっては短期金利は日本も欧米もほぼゼロで差はなく、10年国債利回りも米国やドイツとの差は約1%にまで縮小しています。多少の違いは正当化されるかもしれませんが、長期金利水準は中期的な期待インフレ率の裏返しであることを考えると、経済成長力が劣ることを表しているともいえるので、微妙なところです。

 

PBRで見れば日本株は圧倒的に割安だ、という見方もあります。ただ、流動性の低い株だけでなく大型株でも、損益が黒字でバランスシートに何の問題もないにもかかわらず、PBRが0.6倍程度の銘柄が多数あるという現実を考えると、市場参加者はもはやPBRという指標を見ていない、と考える方が自然だと思います。

なぜPBRという指標が見られなくなってしまったか、色々な要因が考えられますが、最大の理由は、過去にPBRが低いという理由で企業買収をし、企業を清算することによってリターンを挙げた事例がないことだと思います。ブルドックソースやアデランスなど過去何度かそれに近いことを試みた例はありましたが、ことごとく失敗に終わり、実際に収益化できないのであれば、日本株の低PBRはまさに「絵に描いた餅」という解釈になってしまったのではないか、ということです。

 

一口に日本株といっても、業種によっておかれている環境は様々であるため、今度は全業種の集合体であるTOPIXではなく、業種ごとに考えてみます。

 

1980年代のバブル相場の頃から現在までを考えてみると、株価が低位安定期(成熟企業の株価の動き。一定水準の黒字は維持できるが、利益成長期待がほとんどなく、株価の振れ幅も小さくなってしまっている状態)に入ってしまった業種が、徐々に増えてきていることがわかります。

一番最初は電力や百貨店、そして建設、少し前にはメガ・バンク、今まさにそうなりつつあるのが、ソニー、パナソニックなどの民生電機、そして新日鉄やJFEなどの高炉製鉄です。まず、内需の伸びが止まることで売り上げ増加、利益成長の可能性が無くなった業種がそうなり、現在では、今までは外需の伸びで利益成長してきたが、日本企業の持っている付加価値と成長世界(新興諸国)が求める付加価値に明らかなミスマッチが生じ、他国の企業に外需を奪われつつある業種がそうなっています。

 

もちろん、グリー(3632)のように、現在の株価がTOPIXや日経平均が前の高値を付けたときの株価よりもはるかに上の水準にある企業もあります。しかし、リーマンショックの時の株価よりも現状の株価が下回っており、それ以前の高値に戻るなど「夢のまた夢」である上述のような企業ないしは業種の時価総額の方が圧倒的に大きく、結果として全体の集合体であるTOPIXや日経平均は、世界的に株式市場が上昇、下落するたびに高値、安値を切り下げていく、ということに何ら不思議はないでしょう。

 

では日本株に明るい将来が来る可能性はもうないのでしょうか?やれることはあると思います。

上記のように、日本株は国際比較で、PERでは割安ではないが、PBRでは割安、結果としてROEは低い、という状況にあります。ひとことで言うと「資本過剰」です。これは1980年代のバブル時に多額の借り入れをし、90年代にその処理に追われた後遺症で、バランスシートに過剰な現金を保有していることの現れです。その過剰な保有現金で自社株買いを行い、金庫株として保有するのではなく、取得後すぐに消却すれば、PERは低下、ROEは上昇し、PBR1倍以下での取得であれば、PBRも低下し、一気に国際比較で割安になります。

 

ただ、何の政策の後押しなくこれまでと逆向きの財務戦略を、自主的に多くの企業が取ってくるとは思えません。「国内で保有現金を使えば得する」と思われるような税制の優遇措置など、政策の後押しが必要でしょう。また、日本経済復活のためには、国内での雇用創出が不可欠です。ですから、企業としての成熟度が高ければ自社株買い、成長余力のまだまだある企業に関しては、国内で設備投資し、雇用を創出してもらうように促すことができれば、日本株市場も日本経済も復活の可能性はあると思います。

 

来年は消費税増税論ばかりではなく、上記のような方向での政策議論が始まることを強く望んで、今年最後のコメントといたします。

皆さま、よいお年をお迎えください。

 

2011年11月29日

ボックスの中での戻り相場

 

欧州諸国の新発国債消化懸念が一段落し、株式市場は戻り始めました。11月ずっと下落基調で年初来安値を更新するまで下落した日本株も、戻り相場がスタートしたようです。

ただ、依然として売買代金は盛り上がっておらず、中長期投資家は様子見を続けていることがうかがえます。したがって、目先の株式市場の上昇は、あくまでも短期投資家中心の「ボックス相場の中での戻り」と割り切ったほうがよさそうです。

戻りのめどですが、値幅としては日経平均で言うと、メインシナリオとしては75日移動平均線近辺であり10月後半にもみ合った水準である8,700円-8,800円を想定しています。最低でも10月11日から11月9日までの安値であり25日移動平均線超えとなる8,600円台には到達し、米国の経済指標やクリスマス商戦などでポジティブなニュースフローが続けば、最大限9,000円手前まではあり得ると考えられます。これまでのところ米国クリスマス商戦は好調が伝えられており、今週末の米国雇用統計も改善が予想されています。戻りの期間としては2-3週間、すなわち12月12日の週当たりで戻りのピークを付けるだろうと考えています。ただしボックス相場という前提ですから、期間やタイミングの想定よりも値幅の想定の方を重要視すべきです。

投資行動としては、日経平均で8,600円台から徐々に買いベットを減らし、8,700円-8,800円で買いベットは解消、さらに上がるようであれば徐々に売り上がって売りベットを増やす、ということになろうかと思います。トレーディング能力の高い方は、売り上がらずにピークアウトを確認してから一気に売りベットを取る、という方法でもいいと思います。ただ、ピークアウトしてからも年内はそれほど大きく下がらない可能性が高いと思いますので、あくまでも短期トレーディングの範囲での売りベットにとどめておくべきでしょう。

以前もお伝えしたように、中長期投資家は通常、四半期ごとに資産配分の見直しを行います。従いまして、年明けの相場状況には要注意です。売買代金が増えて、上か下に動くようであれば、それは中長期投資家が株式への資産配分を増やす(上に動いた場合)、あるいはさらに減らす(下に動いた場合)決断をした可能性が高いため、その流れに逆らうのは得策ではありません。売買代金が依然低調であれば、中長期投資家は様子見継続で、ボックス相場継続、ということになります。

追伸:このレポートは11月29日の前場中に書きました。後場にこんなに強くなるとはびっくりです。最低限の上値めどまで、日経平均であと200円という水準まで上がってしまいました。このような動きは、やはり短期投資家中心相場であることの表れだと思います。

 

2011年9月1日

 

フェーズ・チェンジ

 

8月の株式市場の下落は以下の3つの可能性があります。

 

1.   上昇フェーズの中での調整(いわゆる中間反落)

2004年5月、2010年5-8月と同様。

2.    高値もみ合いフェーズに移行

2006年5-6月と同様。

3.    高値もみ合いフェーズを飛ばして下落フェーズに移行

下落フェーズの始まりは前回は2007年8月

 

結論から申し上げますと、1.の可能性は極めて低く、2.か3.で、2.よりも3.の可能性の方が高い、と考えています。

 

1.ではない理由として、過去10年くらい振り返った時、1999年-2000年のいわゆるネットバブルの時は、ネット企業や通信会社が無理をして過剰設備投資を行い景気のけん引役になりました。その後、ネット企業や通信会社は大きなツケは払わされました。リーマンショック前の前回の景気回復は、サブプライムなどの住宅バブルを金融機関が作り出し、金融機関は無理をしたツケを払わされました。リーマンショック後の現在の状況は、民間部門で景気をけん引している分野が無く、公的部門(政府や中央銀行)が無理をして景気を支えてきました。ただ、そのために公的部門の財政は痛み、もうこれ以上やれることは限らており、一方で新興国はインフレ問題を抱えているので景気拡大を加速させられる状況ではないということを8月に一気に織り込んだのだと思います。

世界景気の拡大の行き詰まりが顕在化するにはまだしばらく時間がかかると思われますが、市場が一旦実際に織り込んだ動きをしてしまった以上、この問題が消えることは無いと思います。

したがって1.の可能性はほとんどない、という結論に至ります。

 

2.か3.かの決め手は、追加金融緩和策なしに、米国景気の自律的回復が加速するかどうか、だと思います。回復が加速するようであれば2.の可能性が高まっていきます。同時に新興国でのインフレ懸念の鎮静化も必要です。ただ、これまで見られなかった米国景気の自律回復の加速や、景気拡大が維持されている中での新興国でのインフレ懸念の鎮静化が今後見られる可能性は低いと思われるため、現段階では2.よりも3.の可能性が高いと思わざるを得ません。様々な良くない副作用を承知で、追加金融緩和を「実施」してしまったら、3.に決定となります。追加緩和実施初期には株式市場は上昇するかもしれませんが、そこは絶好の売り場となってしまうでしょう。

 

3.だとすると、日経平均の2000年の高値が約21,000円、2007年の高値が約18,500円だったのに対し、今回の高値は2010年4月の約11,400円にとどまる、ということになり、いくら日本企業の国際的な平均的相対地位が低下しているにせよ、いくらなんでも低すぎるのではないか、という違和感を覚えます。

しかし、NYダウは2007年の高値が約14,200に対し2011年の高値は約12,900、ドイツのダックスは2007年の高値が約8,100に対し2011年の高値は約7,600、イギリスのFTは2007年の高値が約6,750に対し2011年の高値は約6,100とおおよそ2007年の高値から5-10%下のところまで2011年の高値は迫っています。国家の財政が傷んだことなどを考えると、前回高値の5-10%下で今回の高値をつけた、ということになっても違和感はありません。

 

いずれにせよ、たとえ3.だったとしても、最低でも日経平均で10,000円手前位までの戻りが、9月10月であると思います。その際に戻るのは「業績に全くケチがついていないのに」8月に大きく売られた、「外人好みの銘柄と内需成長銘柄(主に新興市場銘柄とかつて新興市場にいた銘柄)」だと思います。

 

今は戻りを取りに行き、日経平均で10,000円手前まで戻ったら、2.か3.かを見極め、3.の可能性が高いと思われたら、外人好みの銘柄をショートで取ることを考え、2.の可能性が高いと思われたら、日経平均で最大11,000円までの戻り(為替の円安進行などベストケースでは最大12,000円)はあり得るので、高値圏で急落するまではロングでついていく、ということになるでしょう。

 

見極めるうえで重要な注目点として、10月半ばから発表される米国主要企業の7-9月期の業績発表や10-12月期のガイダンスで「時間の問題で企業業績がピークアウトしてしまいそう」だという内容かどうかです。これまで企業業績のみが株価を支えてきたわけですから、もし業績の先行きピークアウト感が出てしまったら、3.に決定ということになります。

日本企業の今期業績は地震の影響で歪められてしまっているため、参考にはなりません。ただ、地震の影響で製造業各社の今期業績見通しは、おおよそ上期1に対して下期2という利益構成になっており、ただでさえ下期偏重の業績見通しを中間決算発表時点で上方修正してくる企業はほとんどないと思われ、株価の押し上げ要因にはならないでしょう。