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「債券先物口座開設」の謎

「債券先物口座開設」の謎

 

先日ある方から、

「菊池さんの本で、債券をカラ売りするための手法として、CFDや債券先物が紹介されていますが、ほとんどのネット証券が最近になって債券CFDの取り扱いをやめています。証券会社の店頭で債券先物口座を開設しようとしても、どこでもよく納得できない理由を言われて、開設させてくれません。」

と言われました。

昨年9月頃に拙著「円安恐慌」の原稿を書いているときに調べたときには、多くのネット証券が債券CFDを取り扱い、また「債券先物 口座開設」と入れてインターネットで検索をかけると、多くの証券会社や銀行が出てきました。ですので、そんなはずはないと思い、あらためて「債券先物 口座開設」と入れて検索すると、驚くことにほとんど取扱業者が出てきません。債券CFDも調べてみると、確かに年末から年初にかけて、各社取り扱いを止めていました。

 

証券会社が一時的にせよ、自己でポジションを取るCFDは、リスク管理など何らかの理由で取り扱いを止めることは考えられます。しかし、債券先物は上場先物です。ミニ債券先物も同様です。株や他の上場先物同様、顧客の売り買いを取引所につなぎ、手数料をもらうだけですので、取り扱いをしない理由は何も思い当たりません。

 

この状況を知り、これは想像でしかないのですが、昨年11月半ばからアベノミクス期待で円安進行が始まってから、財務省や金融庁が国債金利上昇の可能性を否定できなくなり、

「個人投資家に債券先物や債券CFDを使ってショート・ポジションを取り、国債金利上昇(国債価格下落)でリターンを出す経験をさせてはまずい。まだ誰も債券売りで儲かっていない今なら、苦情も出ないだろうから、今のうちに債券をショートできる手法を封じ込めておこう。」

となった、と考えると合点がいきます。真相は謎のままだと思いますが。

 

もしこれが本当だとすると、取引所に上場しており、機関投資家は自由に売買できる商品を、個人投資家が売買する参加権を奪われた、ということになり、資本主義国家として大きな問題です。メディアで報道されることもなく、まさに「知らないうちに」とられた措置だからこそ、大きな問題だと思います。

 

証券会社の店頭でお取引のある方は、ぜひ担当者に「債券先物を売買したいから、口座開設したい。」と言ってみてください。