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2011年10月11日のマーケット・コメント

「とりあえず」の米国景気懸念と欧州問題

 

以前もお伝えしたように、8月以降の世界的な株式市場の急落は、米国景気懸念と欧州問題という大きな2つの要因によってもたらされました。

 

まず米国景気懸念ですが、先週発表された、ISM製造業指数、ISM非製造業指数、雇用統計など主要経済統計は、ほぼすべて事前の予想を上回るものでした。これで「とりあえず」米国景気懸念は後退した感があります。

欧州問題も、週末にドイツとフランスが欧州の銀行に対する支援姿勢を確認合意したことで、「とりあえず」目先の懸念は後退したと言えるでしょう。

 

株価もこれでリバウンド相場に入った可能性はありますが、今後2つのことに注目する必要があります。

 

まず注目すべきは、米国株の日中の値動きの激しさです。年金資金などロングオンリーの中長期投資家は「ボラティリティの低下」を待ってから株式を買い始めます。10日の米国株は、日中の値動きがあまりない中ほぼ高値引けとなりました。大幅高が続かなくてもいいので、日中の値動きが安定し、日々の値動きも収まってくるようであれば、ロングオンリー資金が買い始め、株価の戻りが続く要因になります。逆に本日以降、今週の米国株が相変わらず乱高下を続けるようであれば、戻りは限定的だというサインです。

 

次に注目すべきは、来週から本格化する米国主要企業の企業業績発表と、それに対する株価の反応です。多くの企業が業績の先行き不透明感を表明してくると思われますが、その程度とそれに対する株価の反応が問題です。想定の範囲内の程度で、それに対する株価の反応がネガティブなものでなく、逆に悪材料出尽くしの反応になれば、最長10月いっぱい株価のリバウンドが続くでしょう。

 

したがって今後のシナリオとしては、1.今週米国株が相変わらず日中に乱高下するようであれば、戻りの上値は限定的で急落に注意が必要、日経平均は8,800円台でピークアウト、2.今週の米国株の日中の値動きが安定して来たら、日経平均9,000円に到達、その後の米国企業の企業業績発表に対する反応がネガティブなら、10月後半下落、3.企業業績発表に対する反応が悪材料出尽くしになるなら、10月いっぱい株価は戻って日経平均で9,500円越え、となります。売りたい人はひとまずおおかた売ってしまった、いわゆる「売り飽き感」が市場に感じられますので、1.の可能性は限られ、2.か3.の可能性が高いと現時点では思います。ただ、ここでの戻りは「戻りだとは思われない戻り」ではなく、あくまでも「売られすぎの反動ととらえられる戻り」になると思いますので、2.の可能性が最も高いと感じています。もちろん、今週の値動き次第で、やっぱり1.だった、となることもあり得ます。

 

いずれにせよ、以前お伝えしたように、11月は再び株式市場の需給が悪化する可能性が高いため、10月終わりには11月の下げに対する備えが必要です。特に3.のシナリオになり、株価が高い位置から11月に入る場合には、ポジションを売りに傾けるべきだと思います。11月の下げを主導するのは、中間決算発表で予想以上の業績悪化が懸念される銘柄と、信用買い残が高止まりしている中小型株だと思います。