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2011年10月24日のマーケット・コメント

今週ピークアウトか

 

ご存じのとおり、欧州でEFSFの拡充案に独仏の合意が見られそうなことや、米国での追加金融緩和期待から、米国株は8月の急落後の戻り高値を更新し、8月に大幅安する前の水準にほぼ到達しました。

先週の米国企業の業績発表の内容は、思っていたよりも全般に堅調で、相場の押し下げ要因にならなかったことも、戻りを後押しする結果となりました。

ただ、出来高は増えておらず、依然として短期投資家中心の動きであり、中長期投資家は様子見を続けていると思われます。

 

今週も米国企業の業績発表が続き、日本企業の業績発表も今週から本格化します。また、26日には欧州で独仏の追加首脳会談が予定されており、この場で合意がなされる見通しです。

 

結論から言うと、今週中に相場はピークアウトする可能性が高く、今週前半に下落に対する備えをするべき、と考えています。

 

業績面では、先週の米国企業の業績発表とそれを受けての米国株式の上昇を考えると、企業業績に対する懸念は相当程度後退したと思われ、以前のレポートでお伝えしたように、今後は業績発表が相場の押し上げ要因になる可能性は低く、むしろ押し下げ要因になる可能性が高いと思います。

日本企業の業績発表では、世界景気の不透明感に加えタイでの洪水もあり、通期見通しを上方修正してくる景気敏感銘柄はほとんどなく、多くが「とりあえず」通期見通し据え置き、一部は通期(=下期)の下方修正を発表してくると思われます。したがって、決算発表のごく初期(=今週半ば頃まで)は、「出尽くし」の反応をする可能性はありますが、その後は相場の押し上げ要因にはなりにくいということです。

 

欧州問題も、すでに市場は26日に独仏が合意することを織り込んでいると思われ、今織り込んでいる以上のものが出てくる可能性は極めて低いと思われます。したがって、株価が高い位置まで戻った後だけに、26日以降は「好材料出尽くし」の展開になる可能性が高い、と考えられます。

 

以前お伝えしたように、11月前半は再び株式市場の需給が悪化します。現在の市場が短期投資家中心であることを考えると、下落時に「逆張り」で買い向かってくるとは思えず、むしろ下落基調になったら「順張り」の行動を取ると思いますので、あまり早い段階で買い転換するのは危険だと思います。

 

以上のシナリオの最大のリスクは「26日以降も米国株の上昇が続くこと」です。NYダウでいえば、12,000を超えてもまだ上昇するということです。そうなると、今や最大限のリスク回避ポジションを取っている中長期投資家が「株を持っていることのリスク」よりも「株を持っていないことのリスク」を優先して考えるようになり、思いがけないところまで株価が戻ることになるためです。もし、このような動きになったら、売りで取るポジションは撤退すべきで、むしろ日本株は米国株に対しての出遅れをどこかで一気にキャッチアップする可能性が高まりますので、中長期外人投資家が好む銘柄の上昇を取りに行く、ということになるでしょう。