欧州合意
ご存じのように本日の日本株の場中に、欧州で合意がなされました。それを受けて、世界的に株式市場は上昇しました。前回のレポートでお伝えしたように、基本的にはこれで好材料出尽くしで、11月に予想される下げに備えるべき、と考えています。
ただ、以前想定していたこととやや異なる点が2つあり、売り転換してリターンを狙うにはこれらの点を見極め、日次ベースではタイミングをはかる必要がある、と考えています。
一つ目は、米国や日本の企業業績です。米国では昨日までのところで約3分の2の企業が業績発表をし、そのうちの約4分の3の企業が事前のコンセンサスを上回る業績を発表しています。日本ではまだ限られた数の企業しか業績発表をしていませんが、とりあえずのところ全体として思ったほど悪くありません。
つまり、以前お伝えしていた「業績の先行きピークアウト感」は見られず、11月に株価が下がるとしても、直近の安値を下回ることは無いと思います。日経平均で言うと、8,500円割れまでの下げはあり得るが、直近の安値の8,350円は割らない、ということです。
二つ目は、日本株の水準です。米国株は「最大限ここまでは戻るかもしれない」と考えていた200日移動平均線、および8月の急落前の水準であるNYダウで12,000、S&P500で1275にあと少し、という水準まで戻っています。一方で日本株は75日移動平均線(現在9,050円)までにも戻っておらず、200日移動平均線(現在9,600円)や8月の急落前の日経平均9,700円までは「はるかかなた」です。
それは、米国株がもししばらく高止まりした場合、何かをきっかけに日本株が一気にキャッチアップする可能性がある、ということを意味すると思います。日本株の戻りが悪かった理由の一つは、円高が止まらないことだと思われますので、為替介入がキャッチアップのきっかけの「何か」になることは想定されます。
従いまして、超短期で動かれる方は、「今は軽く買いベットで米国株のピークアウトを待って売りベット転換」、それなりに短期で動かれる方は、「今は何もせず、米国株がピークアウトしたら軽く売りベットし、日経平均8,500円割れでクローズし次の買いタイミングを計る」、あまりバタバタ動かれない方は、「今は何もせず、もし日本株がキャッチアップの動きを見せ日経平均で9,500円を超えていくようなら売り上がり、もし日経平均で8,500円を割り込んで下がるようなら買い下がり」ということになろうかと思います。
もし予想に反して11月以降も米国株の上昇トレンドが続き、日本株も日経平均で9,500円を超え、「株を持たざるリスク」とか「今年の8月9月の株価の下落は特殊要因によるもので、これまでとは違い、将来の景気や企業業績悪化を織り込んだわけではない」とか言われるようになったら、その後の下げは10月の安値を大きく割り込みます。11月に予想通り下げた後に12月以降に株価が戻り、そうなった場合も同様です。
株価が上がれば、楽観的な意見が多く出てくるものですが、その時こそ「要注意」です。