今後6ヵ月の相場見通し
アメリカ株は場中に一時10,500ドルを割り込む場面があったものの、引け値では10,600ドルをキープする形になりました。日経平均も、かろうじて終値で9月26日の安値を下回りませんでした。ただ、相変わらずアメリカ株の日中の値動きが激しく、これが落ち着いてこないと本格的な買い手が出てくることは期待できません。そうはいっても、売られすぎの修正という形で多少のリバウンドがある可能性は十分あります。
目先の注目点は、アメリカで10月半ばから始まる企業業績の発表です。もはや、今後の見通しを上方修正してくるという期待はほとんどなく、多くの投資家は今後の見通しのトーンダウンを覚悟していると思います。それを踏まえると、10月は半ばで一旦流れが変わる可能性が高い、と考えています。
10月前半に株価の戻りが続き、その状態で企業業績の発表を迎えたならば、「やっぱり企業業績も先行き不透明感が強い。株価の戻りが続くとは思えない。」という反応になり、10月後半は再び下落するでしょう。逆に10月前半に株価は底ねり、あるいは底割れという状態で企業業績発表を迎えたならば、「企業業績は恐れていたほど悪くない。」という反応になり10月後半に株価は戻るでしょう。ただ、いずれにせよ、売られすぎの反動という多数の人が「単なる戻り」と認識するリバウンドですので、上値はそう高くないでしょう。日経平均でとりあえず8,800円、頑張って9,000円手前位をイメージしています。
11月は、ファンドの決算に伴う実現益圧縮のための損出しの売り(アメリカなどではファンド内の実現益が課税対象になるため、含み損を実現させて実現益の圧縮をする)などにより、例年ただでさえ需給が悪くなる月です。今年はそれに加えて、前回のレポートでご説明したように、月初にヘッジファンド解約に伴うポジション解消が予想されます。したがって、11月も底ねり、あるいは底割れの可能性が高いと思われ、注意が必要です。また、11月初めに、明らかにヘッジファンド解約に伴うショートカバーで株価が上昇している銘柄が目についたら、それはショートのチャンスです。
8月初めに始まった世界的な株式市場の急落も、10月で3カ月目を迎えました。1カ月くらい前と違い、現在では「なにを織り込んでこのように株が急落しているのか」を美しく説明できる人がかなり増えてきたように思います。「グローバル・リセッション」という言葉も新聞などで見るようになりました。
ここまで続いてしまった流れが本格的に変わるには、まずは時間が必要です。ギリシャ問題をきっかけに5月から急落が始まった2010年の場合、外人投資家が投資対象にする大型優良株の需給調整は結局8月いっぱいかかりました。下げ始めてから4ヶ月間です。さらに、5月6月に買い向かってしまった個人投資家の需給整理は、さらに2カ月かかり、結局10月まで続きました。下げ始めてから6カ月間です。需給が整理されるにも、とんでもなくいやな経験を過去のものにするのにも、数カ月かかるということでしょう。
これを今年に当てはめると、外人投資家の需給整理は11月まで、個人投資家の需給整理は1月までということになります。
もちろん、昨年の期間がきれいに今年にも当てはまるとは限りませんが、大雑把な目安にはなるのではないかということと、外人投資家の需給調整が終わった後も個人投資家の需給整理はまだしばらく終わらないということ、この二つは今回も当てはまると思います。
以前このように申し上げました。
「ここまで悪化したセンチメントが転換するためには、多くの市場参加者に「わかりやすい」きっかけが出てくるのか、あるいはきっかけそのものはそれほどわかりやすくはなかったが、その後の値動きがボラティリティの低下を伴う上昇となり、値動きそのものがセンチメントの転換につながるのか、いずれかだと思います」。
現在の市場はもはや値動き以外に信じられるものは無い、という状態になっていると思いますので、「多くの参加者にわかりやすいきっかけ」で転換する可能性は低く、何かをきっかけにして値動きがボラティリティの低下を伴う上昇となり、値動きそのものがセンチメントの転換につながり、後になってみて「ああ、あれはたしかにいいきっかけだった」ということになるように思います。実際に「値動き」という現象が起こらないうちは、あせって行動しないほうがいい、ということです。
現象が起こるのを待つべきではありますが、以上の動きが12月以降いつ始まってもおかしくありません。(12月中におこると予想しているわけではありません。年が明けてからかもしれませんが、いずれはおこります。)その場合は、多くの人が「戻り」だとは思わない形で株価が上昇し、最終的には「株を持たないリスク」みたいなことが言われ始めると思います。上昇の期間は2-3カ月間のイメージで、その時の上値めどは、日経平均で9,000円台後半(200日移動平均線近辺)です。
その後は、現状が「高値もみあい」フェーズであり株価上昇が続くのか、「下落」フェーズであり株価は再び下落へと転換するのかを冷静に判断しなければなりませんが、以前申し上げた見極めるためのいくつかのポイントに照らし合わせて、少しでも違和感があれば少なくともポジションをスクエアに戻すべきでしょう。「下落」フェーズに入った可能性の方が、はるかに高いですから。