ギリシャでの国民投票
10月31日にギリシャは、一連の財政緊縮案を国民に問うための国民投票を実施することを発表しました。これは以前指摘していた大きなリスクである、欧州各国が自国民を向く動きの始まりといえます。これで、一旦沈静化していたかのように見えた欧州問題は、再び不透明感を増し、株式市場がリバウンドした後だけに、投資家は再びリスク回避姿勢を強めるでしょう。
これで超短期に動く方も買いベットは解消し、売りベット転換のタイミングだと思います。
ただ、10月に株式市場が戻る過程で、中長期投資家は参加せず、もっぱら短期等しか中心だったことを考えると、大幅な下げにつながるだけのエネルギーはたまっておらず、この局面での下げで安値更新するまでには至らない、という考えは変わりません。日経平均で言うと、8,350-8,400円の水準が安値のイメージです。従いまして、8,500円を割れたら売りベット解消、それ以上下げたら徐々に買いベット転換ということになろうかと思います。
日本の企業業績発表ですが、思っていたとおり景気敏感株に関しては、今のところ「通期見通し据え置き」か「通期見通し下方修正」がほとんどです。それに対する株価の反応は、業績が出始めた先週は、ファナックやコマツのように予想通りの内容には株価はやや上昇していましたが、今週は予想通りにはやや下落、日東電工のように下方修正には大幅下落、ナブテスコのように会社見通し上方修正でもコンセンサスに届かないものもかなりの下落、となっています。このことからも、売り方優位といえます。
ただ、マクロに懸念があるときには投資視点が近くなり、下方修正を素直に嫌気するが、マクロ懸念が後退したときには投資視点が遠くなり「今が最悪期」と悪材料で尽くしの反応をするものなので、あくまでも欧州と米国のマクロ懸念優先の相場が続く、という意識を忘れてはならないと思います。