ボックス相場での銘柄選択-割り切りが必要
短期的な相場見通しは、11月10日のレポートでお伝えした内容と変化はありません。依然として短期投資家中心のボックス相場が続き、現状水準は下値余地より上値余地の方が大きく、短期で動かれる方は買い下がる余力を残して買いベット、と見ています。
そのような状況で、効率的にリバウンドを取るためにどのような銘柄を買えばいいのかですが、「割り切り」が必要だと思います。
今週初めに中間決算発表は終わりました。予想通り、景気敏感株では「通期見通し据え置き」か「通期見通し下方修正」がほとんどで、下方修正した企業の数、下方修正の度合いとも予想以上でした。業績発表の直後だけに、銘柄選択を業績動向で決めたくなるところですが、そうすべき時は「中長期投資家が買いに来ているとき」であり、現在のように短期投資家中心のボックス相場ではうまくワークしません。
中長期投資家は「いい銘柄」をじっくり持って、大きなリターンを出そうとしますので、銘柄選択では業績動向や国際競争力などいわゆるファンダメンタルズを重視します。しかし短期投資家は、短期の値動きによって小さなリターンを出そう、とするわけですから、ファンダメンタルズは彼らにとっては「それによって動く中長期投資家を先回りする」ための道具にすぎません。
好業績を発表した数少ない景気敏感株、例えばファナック(6954)やいすず(7202)などの決算発表後の株価動向は、ひとことで言うと「もみ合い」であり、このような「値動きの悪い」銘柄を短期投資家が売買しているとは思えません。(このことからも中長期投資家が参加していないことがうかがえます。)
では何に注目すれば、効率的にリバウンドが取れるでしょうか。それは「需給」です。短期投資家はカラ売りも積極的にやります。(というか、カラ売りは短期投資家しかやらない、とも言えます。)相場が反転するときには、必ず短期投資家のショート・カバー(カラ売りの買い戻し)が入ります。したがって、カラ売りの多く入っている銘柄を買うことが、最も効率的にリバウンドを取る方法です。そのような銘柄は往々にしてファンダメンタルズが思ったより良くないですが、だからこそカラ売りが多く入っているわけなので、所詮ボックス相場の中での戻りを取りに行くだけのため、と割り切る必要があります。(ファンダメンタルズの悪さにも限度はありますが。)
利食いを早めにすることは重要です。そのような銘柄がショートカバーで押し上げられた後を、買い上がってくる投資家はいませんので。
どの銘柄にカラ売りが多く入っているか、は個人投資家に関しては信用残、機関投資家に関しては東証の空売り報告(http://www.tse.or.jp/market/juran/karauri/index.html)をモニターすればわかります。
全く同じ考え方で、ボックスの上限近くからカラ売りでリターンを狙う場合は、買い残が多くたまってしまっている銘柄がカラ売り候補となります。
以上の戦略はあくまでも「短期で動かれる方」を対象にしたものであり、普段そうでない方に「今回はぜひどうぞ」というものではありませんので、念のため。