日経平均と個別銘柄
本日までのところ、日経平均はかろうじて10月5日の安値水準で踏みとどまっていますが、個別銘柄では本日時点で直近の安値を大幅に更新しているものが目立ちます。安値更新銘柄の共通点は「決算発表時点でケチがつき株価下落が始まり」「信用買い残が多くたまっている」ということがいえます。
前回のレポートでも書いたように、中長期投資家が買って来ていない状況では、信用買い残は株価に重くのしかかります。短期投資家にとって、株価指標の割安感などどうでもよく、値動きの悪い株には買いを入れませんし、信用で買い持ちの人たちは株価が下がるほど追い証回避などで売り需要は高まることは、皆様ご承知の通りです。
先週末時点で信用全体(制度信用+一般信用)のネット買い残(買い残-売り残)株数が発行済み株数に対する比率上位は、時価総額1000億円以上の銘柄ではエルピーダ(6665)、DeNA(2432)、野村ホールディングス(8604)、日本板硝子(5202)、双日(2768)など、200-1000億円の銘柄では、フェローテック(6890)、デジタルガレージ(4819)、ラウンドワン(4680)東京製網(5981)などです。このような銘柄に押し目買いのスタンスで買いを入れることは、今の市場環境では大変危険だと思います。もちろん、銘柄自体が悪いのではなく、信用取り組みが問題なわけですから、取り組みが変化すれば以上に名前を挙げた銘柄も買い候補になり得ます。
買い残整理で売られた銘柄は、下落が続き、最後下落の角度が立って(下落幅がそれまでより大きくなり)底値を付けて、その後角度が立った分の下げは短期間で戻すが、その後は低位もみ合いが続く、というのがパターンです。株価の「底入れ」を鋭敏に感じ取ることができる方は、底入れ時に買えば、売られすぎの戻りの分は短期間で利益が出ますが、なかなかそのような方はいらっしゃらないと思いますので、もし買いを入れるにしても、信用買い残の推移をモニターしながら、もし信用残の状況が好転したなら年明けからの上昇を狙って、クリスマス前後に買いを入れる、ということでしょう。
日経平均は、下値余地は限定的で目先は戻りを狙うほうが有利、との見方に変化はありません。個別銘柄で戻りを取るなら、前回のレポートでお伝えしたような短期投資家のカラ売りが多く入っている銘柄か、決算でケチがつかなかった大型優良銘柄で短期的に株価が下落している銘柄がいいと思います。割り切って、先物やETFという選択肢もありだとも思います。年内の上値めどは日経平均で8,700-8,800円を考えています。
ただ今週は、23日は日本の祝日、24、25日は米国の祝日ということで、動きは出にくい可能性が高いので、目先の戻りは来週から12月にかけてになりそうです。
以上は短期で動かれる方を念頭においてコメントしていますが、日経平均で9,000円を超えて上昇するのは、早くても年明けの1-3月だという認識を持っていただければ、中期で動かれる方も現状の株価水準からは買い下がり始めるべきだと思います。