相場反転のきっかけ
ご存じのように、8月の外人売買動向は過去4番目の金額となる1兆円を超える売り越しでした。株式市場の中身を見ても、いかにも外人投資家が好みそうな輸出関連優良銘柄が、日経平均をはるかに超える下落を続けていたことから、外人投資家が日本を含めて世界的に株式への配分比率を減らしていたことは明らかだったと思います。
四半期末ごとにグローバル運用会社(年金資金などを運用する大手ロング・オンリー運用会社)の平均資産配分のデータが発表されますが、すでに6月末の段階で歴史的に見て相当株式への平均配分比率は減っていました。8月でさらに株式への平均配分比率は減ったでしょう。ここで言いたいことは、6月末ですでに株式への「平均」配分比率が引き下げられていた、すなわち10社の運用会社でこのデータが構成されており株式への配分比率を早く引き下げた順にA社、B社、C社・・・最も遅かったのがJ社だったとすると、6月までにすでにA社からD社かE社あたりまでの運用会社は株式への配分比率を引き下げ、8月からの大幅下落を見て「ほら、やっぱり」と思っているということです。
資産配分の変更はそう頻繁には行いません。8月に株式への配分比率を引き下げた会社が、9月に引き上げてくることは考えられません。もしかしたらJ社は、これから株式への配分比率を引き下げようとしているかもしれません。しかし、6月までに引き下げていたA社初め数社は「思っていた通り、投資家のリスク回避行動により、企業業績に大きな変化ない中で大幅に株価が下落した。なにかきっかけがあり値動きが落ち着いて来たら株式への配分比率を引き上げるチャンスだ。」と思っているに違いないのです。
日米欧の中央銀行が9月15日に、年末越えのドル資金を無制限に供給することで合意しました。8月からの株式市場の大幅下落の一つの問題は「欧州問題」であり、このドル無制限供給で「欧州問題はとりあえずなんとかなる」と市場が一安心してくれる材料が出てきたことになります。このドル無制限供給は、ある意味追加緩和策と同様な効果がありますので、材料としては注目に値します。
もう一つの問題は「米国景気減速懸念」なわけですが、9月20日21日のFOMCでの決定が景気の下支え効果が期待される内容のもので、10月初めに発表されるISM指数や雇用統計が事前予想を上回ってくるようであれば、米国景気減速懸念というもう一つの問題も「とりあえずなんとかなる」と市場が安心し、株式市場の上昇を後押ししてくれるでしょう。
ただし、そうなったとしても、以前コメントしたように、10月半ばからの米国企業の企業業績発表の内容に、業績の「先行きピークアウト感」が出てきてしまうのか、には最大限の注意が必要であることに変わりありません。それにより、11月に日経平均で8,500円を大きく下回るまで下落するリスクがある、ということを忘れないようにしなければなりません。