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2012年12月28日のマーケット・コメント

2013年相場展望

 

本日で今年の取引は終わりました。今年最後のコメントとして、2013年の相場展望をお伝えしたいと思います。

 

1月、2月は調整期

11月14日の衆議院解散決定から、本日に至るまで円安株高が続いています。そのスピードと値幅が予想以上に早かったことから、テクニカル指標は短期的な過熱を示しています。また、外人投資家が先物を中心に日本株に買いを入れてきたことにより、裁定取引の機会を裁定業者に提供し、裁定買い残は過去最高水準に達しています。為替市場でも短期投資家の円ショート・ポジションが過去最高水準に積み上がっています。短期投資家のポジションが大きく傾いた方向(=円安株高)に動き続けることは考え難く、ポジション整理の時期を挟まないと、その次につながらないと思われます。

ファンダメンタル面では、1月は米国で引き続き「財政の崖」問題で交渉が続きます。1月から2月にかけて発表される10-12月期の企業業績は、景気敏感各社で想定以上の悪化となると予想されます。ドル安、株安圧力がかかるという事です。

自民党サイドも、予想以上の株高は歓迎するとしても、予想以上の円安進行には警戒を始めていると思われます。ちょっと前に、石破自民党幹事長が「ドル円は85円-90円が望ましい」と発言し、90円以上の円安は歓迎できないことを表明しました。年明けに安部自民党総裁が首相として発言を始めますが、円安進行にブレーキをかけるような発言が出てくる可能性は高いと思います。

この期間の日経平均の安値のイメージは、少なくとも9,700-9,800円、メインシナリオでは9,400-9,600円、円高に加えて欧米株の大幅下落となった場合には最大で8,700-8,800円です。ドル円の円の戻り高値のイメージは、少なくとも85円割れ、メインシナリオでは82円割れ、最大で80円割れです。

 

3月から7月の参議院選までは円安株高第2ラウンド

3月になると、株式市場では2013年度の企業業績回復を織り込み始めると思います。また、為替市場では次期日銀総裁人事に注目が始まり、4月以降の積極金融緩和実行を織り込み始めると思います。日銀総裁が交代する4月以降は、安部首相はあれだけ選挙前に積極金融緩和を主張したのですから、それを新日銀総裁に実行させてくるでしょう。また、4月から5月にかけて行われる決算発表の際には、景気敏感各社は2013年度の大幅業績回復見通しを発表してくると思われ、業績回復期待が株価の押し上げ要因になるでしょう。

市場では「7月の参院選で自民党が勝利して、参議院でも過半数を確保できれば、衆参のねじれが解消され、法案がスムーズに可決されていく。それは市場にとっても良いことだ。」という事が織り込まれることも、円安株高の後押し要因となるでしょう。このまま安部政権が何も問題を起こさなければ、参議員選挙での自民党大勝利はほぼ確実であり、選挙の結果が出たところが円安株高進行のピークとなるでしょう。

日経平均の高値のイメージは、少なくとも11,000円トライ、メインシナリオでは11,000-11,500円、最大で12,000円です。ドル円の円の安値のイメージは90円超えです。

 

7月の参議院選から10月までは様子見期間

株式市場では、円安の業績への影響は実際にはどれくらいなのかを含めて、実際には2013年度の企業業績がどの程度回復しそうなのか、に注目点がうつり、株価動向にばらつきが出てくると思われます。日経平均では、高値からやや下落したところでのもみ合い、ないしは緩やかな下落となるでしょう。米国FRBが金融政策を変更(QE3の終了を示唆)していなければ、日銀の積極金融緩和が実行されても、ドル円は90円程度で膠着状態となると考えています。

 

11月以降は円安株安の始まり

中間決算が発表される10月終わりから11月頃になると、円安の企業業績への影響は思ったほどではなく(メリットはあるがデメリットもあることに気がつき始め)、2013年度の企業業績は期待ほど回復しない可能性が高いことを織り込み始めるでしょう。そうなるとバリュエーションでその時の株価が正当化できない、という事になり、株価の下落要因となると思われます。

下落のスピードと深さを決めるのが、その時の米国FRBの金融政策です。もしその時期に米国でインフレ懸念が浮上し、インフレ見通しが2.5%を超え、QE3の終了が見えていたらドル高が始まり、日本では制御不能な円安ドル高進行が始まります。そうなったら、ドル円は100円突破の方向に動き、日経平均は10,000円割れとなるでしょう。この場合は、日本国債の流通利回りは、明確な上昇となるでしょう。QE3の終了が見えていなければ、ドル円、日本株ともに円安株安進行はマイルドなものになるでしょう。

 

総括しますと、ドル円は年間を通じてドルの押し目買いスタンス、日本株は参議院選までは「買い目線」参議員選以降は「売り目線」ということです。

 

今年1年お付き合いいただきまして、大変ありがとうございました。来年も皆様に有用な情報の発信に努めていきますので、引き続きよろしくお付き合い下されば幸いです。では、良いお年をお過ごしください。