ついにボックス上抜け
皆様ご存じのように、昨日の日銀政策決定会合で、追加金融緩和策とインフレターゲットが打ち出され、日経平均は200日移動平均線を越え、さらに昨年8月の急落後の高値も超え、ついにボックスを上抜けました。大型景気敏感銘柄の多くが大幅上昇しており、明らかに中長期投資家が買って来ています。
先週のレポートで、ボックス上抜けが「目先軽く調整してから抜ける」場合、「調整が無いまま抜ける」場合、と2つのシナリオをご説明しましたが、「調整が無いまま抜ける」ということになりました。
つまり、レポートに書きましたように「今はまだ買いを入れていない多くの投資家のうち、あまりにも押し目はないことにしびれを切らして買いを入れてくる投資家が徐々に増えてくる。その場合は、一斉にではなく徐々に買いが入り続けるということになるので、株式市場の上昇前期は時間をかけてもみ合いながら緩やかに上がっていき、上昇後期はそれまで買わずに押し目を待って我慢していた投資家が我慢しきれなくなり、上昇が加速して高値を付ける。日経平均の高値めどは9,700-9,800円。」という展開が予想されます。
押し目らしい押し目が無く上昇が続く、ということになれば、上記の通りの展開だと思います。その場合、高値に達してからも依然として「押し目では買いたい」投資家が残っていると思われるため、そのような投資家が買い終わるまで高値圏でしばらくもみ合いとなるでしょう。
途中で高値から3-5%程度の下落という、上昇トレンドの中でのスピード調整が入った場合には、展開が変わってくると思います。ヨーロッパ各国の国債償還懸念などから、2月終わりから3月半ばにかけて調整する可能性は十分あると思っています。この場合は、相場反転時には押し目があったことにより、より多くの投資家が「今度こそ乗り遅れないように買おう」として来ますので、日経平均の高値は9,700-9,800円にとどまらず、10,000円を超える展開になると思います。ただしこの場合は、最後に上げ切るときには大幅上昇し、その後すぐに大幅上昇の分下落する、という展開になるでしょう。例えば、10,000円を超えて一気に10,300円まで上昇した後、すぐに10,000円までは下落する、ということです。
上昇の際に買われるのは広い意味での景気敏感銘柄(海外景気敏感銘柄)ですが、以前ご説明したように、同業種の中では1番手、2番手、3番手の順に買われていきます。(詳しくは「相場のサイクル-基本的な考え方」の中期サイクルをご参照ください。)例えば、機械セクターでいうと、最初に株価が大きく上昇するのはファナック(6954)やコマツ(6301)のような1番手銘柄で、それらが上がりにくくなったらオークマ(6103)や安川電機(6506)のような2番手銘柄が上昇、さらにそれらも上がりにくくなったら、予想以上の業績悪化など理由があるから出遅れていた荏原製作所(6361)や森精機(6141)のような3番手銘柄が上昇して上昇相場が終わる、ということです。
1番手銘柄の株価の上げが鈍くなってきたら「黄色信号」、3番手銘柄が大幅上昇して来たら「赤信号」ということです。今はまだ1番手銘柄が元気良く上がっていますので「青信号」です。