甘利再生相の発言
本日の昼休みに、甘利再生相が「円安進行は輸出には追い風でも、輸入物価上昇を招き国民生活にはマイナスの影響も出てくる。過度な円安進行を防ぎ、輸出と国民生活のどちらに対しても悪影響を最小にする、最大公約数のところで為替レートがおさまってくれることを期待している」と発言し、ドル円、日本株先物ともに大きく反応しました。昨年、石破自民党幹事長も「望ましいドル円レートは85-90円である」と発言しており、あらためて過度な円安進行のリスクを自民党幹部が感じていることが確認されました。
安部首相は、相変わらず積極金融緩和、円安誘導、インフレ喚起を声高に主張しており、それを受けて来週の21,22日の日銀金融政策決定会合で、踏み込んだ政策が発表される期待は根強いものがあります。しかし、本日の甘利再生相の発言があったことで、決定会合の発表で出尽くしとなり、円安進行が一旦調整の方向に向かう可能性が高まったように思います。円安進行一服となれば、日本株上昇も一服となり、再来週から始まる10-12月期業績発表を受けて調整色が強まる、ということになるでしょう。
日本株調整を主導するのは、上がったものほど売られるということであれば、金融・不動産ですが、そうではなく、足元の業績が思った以上に悪いにもかかわらず株価が大きく上昇した景気敏感製造業だと思います。(もちろん、金融・不動産もそれなりには売られると思います。)それを象徴し、先行した動きになっているのがファナック(6954)です。買い上がってみたものの、業績やバリュエーションからするともはや割高、ということで株価は下落してきています。
10-12月期業績発表は2月半ばに終わりますが、2月後半は米国の「財政の崖」問題の税制と財政という2つのうち、残された財政問題をめぐり混乱する可能性があり、2月いっぱい為替、日本株ともに調整が続くかもしれません。しかし、そこは3月から7月の参議院選までの上昇相場第2ラウンドに乗るための「買い場」と捉えるべきでしょう。
話を為替レートに戻しますが、もし日本サイドの政策だけで為替レートをコントロールすることができるのであれば「過度な円安進行を防ぎ、輸出と国民生活のどちらに対しても悪影響を最小にする、最大公約数のところで為替レートがおさまってくれる」ようにできるでしょう。しかし、言うまでもなく、現実は違います。為替レートは相手(ドル円であれば米国)との相対関係で決まります。1月4日のコメントでお伝えしたように、米国は今年後半にも積極金融緩和政策を転換し始め、そうなったら日本側ではコントロール不能な、ドル高がけん引する円安ドル高進行となります。甘利再生相や石破自民党幹事長の希望通りに事が運ぶことはない、と認識することになるでしょう。