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2013年2月12日のマーケット・コメント

やはり米国はアベノミクス了承済みか

 

昨日のNY時間(日本時間の本日朝)に、ブレイナード米国財務次官が「今週末のG20では、競争的な通貨の切り下げを回避する必要がある」と発言し、円安誘導に対して各国は対抗措置を取るべきではない、と受け止められ、円は対ドルでも対ユーロでも大幅に下落しました。米国財務次官の発言ですから、少なくとも「米国は日本の円安誘導に対して対抗措置は取らない」と解釈されます。

 

また、昨日ECB(欧州中央銀行)の政策委員会メンバーのドイツ連邦銀行のバイトマン総裁が「ユーロは著しく過大評価はされていない」と発言し、ユーロ安誘導にくぎを刺したことで、ユーロ上昇につながりました。ユーロ圏の意見はまだ一枚岩とは言い難い状況ですが、ユーロ圏でもユーロ安誘導に反対する意見があることを印象付けました。

 

1月9日の私のコメントをぜひもう一度ご覧ください。そこでご説明したように、やはり米国は「アベノミクス」を事前に了承していた可能性が、今回のブレイナード発言で極めて高くなったと思います。ロシア、ドイツ、中国などは、急激な円安誘導策に警戒感を示していました。急激な変化は、各国に様々な副作用を招くリスクがあるため、この反応はむしろ当然だと言えるでしょう。米国も日本が民主党政権時代には、為替介入をしただけで強い抗議をしてきたことをご記憶かと思います。しかし今回は、これだけドル円が急激に動いたにもかかわらず、抗議どころかそれを支援しています。事前に了承していた、としか考えられません。

 

米国が支援しているとなると、ドル円の大きな調整はおよそ望めないでしょう。昨年11月半ばに明確に円安進行が始まって以来、円高方向への調整幅は計ったように高値から2円でした。直近も94円07銭から92円17銭でした。本日の高値は94円47銭ですから、92円台半ばではぜひ買い増しをすべきと思います。もしそこからさらに下がるようであれば、買い下がれて幸運だ、と思うべきでしょう。「ドルを持たざるリスク」は大きいと思います。