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2013年2月22日のマーケット・コメント

1月のFOMC議事録

 

米国時間の一昨日に、1月29,30日に行われたFOMCの議事録が発表されました。それによると、参加者の多くが「資産購入継続に伴う潜在的コストとリスク」への懸念を表明し、また「現在行われている資産購入の評価次第では、労働市場の見通しが十分改善する前に、QE3の縮小または終了することにつながる可能性が十分ある」という見解を示したということです。明らかにここで言う潜在的コストとは、FRBが保有国債を売却する際に多額の売却損が発生する可能性であり、リスクとはインフレリスクのことでしょう。

 

12月のFOMCで、QE3終了(いわゆる「出口」)の条件として、失業率にくわえてインフレ見通しを条件に加えてきたときから、私が指摘しているように、FOMCの参加者のより多くが「インフレリスクが高まる可能性」を感じてきている、ということが裏付けられたと思います。

 

また今回新しい表現として、QE3の「縮小」ということがあります。参加者の一人へのインタビューでも「失業率が改善するに従って、QE3の規模を少しずつ縮小していくのが望ましい」としています。現在毎月850億ドル(住宅ローン担保証券400億ドル+米国債450億ドル)の債券購入を行っていますが、いきなりどこかの時点で850億ドルをゼロにするのではなく、失業率の改善あるいはインフレ見通しの高まりを受けて、購入額を徐々に縮小させ、いわゆるフェード・アウトさせていく可能性が高まったと思われます。

 

ご存じのように市場は、予見できる将来を常に先取りして織り込んでいくものです。毎月850億ドルの購入額がわずかでも縮小した時点で、市場はQE3のフェード・アウト、積極金融緩和策の終了から金融政策正常化へ、という事を織り込み始めるでしょう。すなわち、主要通貨に対してドルの全面高が始まる、ということです。それはドル円の100円を超える円安ドル高進行が始まるとき、ということでしょう。その時期が2013年内であっても、全く不思議はないと思います。