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2013年2月25日のマーケット・コメント

次期日銀総裁人事

 

本日の報道によると、黒田氏が次期日銀総裁候補者として、近く国会に提示される、ということです。次期日銀総裁人事を巡っては、学者好きの安部首相と学者嫌い、官僚出身者好きの麻生財務相との間での意見の対立が懸念されていました。もし武藤氏が候補になったら、為替、株ともネガティブ・サプライズ、とも言われていましたが、それはどうやら回避されたという事になります。

 

今回の黒田氏への一本化は、いかにも政治家にありがちなところに落とした、という印象です。おそらく安部首相の第1希望は岩田規久男氏、麻生財務相の第1希望は武藤氏だったと思われます。そのどちらかになった場合、安部氏、麻生氏どちらかが勝利、どちらかが敗北、ということになり、第1希望がかなわなかった陣営の今後の協力体制などに懸念が生じます。(その場合は首相である安部氏勝利、麻生氏敗北となっていたでしょう。首相が敗北者になることは考えづらいですから。)

 

政治家として、そのような事態を回避するために、おそらくお互いに第2希望だった黒田氏に一本化した、という事かと思われます。岩田規久男氏が副総裁に入ることで、安部首相の面目も保たれた格好になったと思われ、いよいよ新総裁、副総裁人事が固まり、あとは積極金融緩和の「実行」を待つばかりとなりました。アベノミクス相場に水を差す可能性があるリスク要因がこれで払しょくされ、4-6月期の円安株高持続に向けて、素地が整ってきたと言えるでしょう。

 

もう一つの注目材料であるイタリア選挙は、日本時間の明日寄り前には判明します。市場のコンセンサスは左派連合の勝利で、もしそれが実現すれば、予想通りではあるがリスクが完全になくなったという事で、ユーロ、株ともにやや上昇要因となるでしょう。もしベルルスコーニ陣営が勝利となれば、ネガティブ・サプライズとなり、ユーロ、株ともに短期的に大幅下落する可能性は高いでしょう。しかし、それでユーロは買えなくなっても、ドル円、日本株への影響は短期的と思われますので、もし明日ドル円、日本株が大幅調整したら、絶好の買い場と捉えたいと思います。