パナソニックが相場全体の象徴か
パナソニック(6752)は先週金曜日の引け後に、10-12月期の決算発表をしました。10-12月期の営業利益は346億円、当期利益は614億円(当期利益の大部分は繰り延べ税金資産取り崩し減少額の428億円)でした。4-12月期の営業利益は1220億円で、通期会社見通しは1400億円の達成はほぼ可能か、という内容でした。これを受けて、月曜日には株価はストップ高まで上昇し、本日も相場全体が下落する中、株価は一時12%高まで上昇しました。その後下落に転じ4%高で引け、長い上ヒゲを形成しました。出来高も記録的な水準でした。陰線になれば完璧だったのですが、それでもテクニカル分析でピークアウトの形です。
パナソニックにはカラ売りが多く入っている様子は一切ありませんので、買い手は新規買いだと思われます。色々なところに聞いてみましたが、1月中は市場に積極的に参加していたのは、外人投資家の中でも先物を中心に売買する短期投資家がもっぱらで、現物株を中心に売買する中長期の投資家はほとんど動いていなかったようです。中長期投資家は「高値を買い上がるのは避けたい。どうせ足元の業績は良くないのだから、業績が出て株価が下落したところを買いたい」と考えていたと思います。ところが実際には、たしかに業績は思った以上に悪いものが散見されるにもかかわらず、株価は下落するどころか、出尽くしで急騰するものが多く、押し目待ちの中長期投資家の一部がこらえ切れずに一気に高値を買い上がった、ということがパナソニック株急騰の背景だと思われます。
外人投資家、特に中長期の外人投資は、流動性の高い大型株を好みます。コア30に採用されているパナソニックは、まさに日本を代表する大型株です。しかも、4-9月決算発表の際に、当期利益を2期連続となる大幅赤字に修正し、株価が大きく売られた後に、株価が出直ってきていました。「円安による製造業の大幅業績回復」がメインテーマとなっている現在の相場を、パナソニックはまさに象徴している存在だといえるでしょう。
私の予想に反して、押し目らしい押し目が無いまま、ここまで相場全体の上昇が続いてきたわけですが、日経平均やパナソニックの本日の動き、昨日再燃が始まった欧州問題等を考えると、いよいよ2月中の調整が始まった可能性が高い、と考えています。調整色が出てくると「押し目待ち」の投資家の買いの手は引っ込むものだからです。ただし、依然として押し目待ちの投資家は多数存在することに変わりはなく、日経平均の下落めどはせいぜい10,500円割れ程度だと思います。そしてそこは上昇相場第2ラウンドに向けた「絶好の買い場」と捉えるべきと考えます。調整色が消え、相場が反転してくると「押し目待ち」の投資家の買い意欲は高まり、「今度こそ乗り遅れまい」となるでしょう。予想通り目先調整したならば、相場の転機は2月24,25日のイタリアの選挙になるのではないか、と思います。