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2013年2月7日のマーケット・コメント

下方修正だけではないニコンの決算サプライズ

 

昨日引け後にニコンが決算発表をし、予想外の大幅業績下方修正をしました。デジタル1眼レフカメラの想定以上の価格下落が主な要因で、各証券会社のアナリストは一斉にネガティブ・コメントを出し、本日株価はストップ安売り気配で引けました。

 

昨日、決算発表後に行われた決算説明会に参加したアナリストの取材メモを見て、業績下方修正以上に目を引くコメントがありました。会社は2013年1-3月期の為替感応度を対ドルでゼロと説明したというのです。これまで円高対策の一環で、多くの部材調達をドル建てで行っている、という事が理由です。

 

ニコンは海外売上比率も輸出比率も高い会社であるため、円安に恩恵を受ける代表銘柄の一つ、と位置付けられていました。ところが、ふたを開けてみたら上記の状況です。当たり前のことなのですが、「円高デメリットを消しに行けば、円安メリットも消える」ということを正に再確認させられました。

 

自動車各社は、基本的に国内生産の部材調達を国内企業から行っているため、部材のドル建て調達を行っているとは思えず、円安は確かにメリットになります。しかし電機、精密などの企業の中で、ニコンと同様に海外からの部材調達をドル建てで行っている企業は、他にも少なからず存在すると思われます。これまではイメージだけで「輸出関連企業はすべて円安からメリットを受ける」と思われ、株価は買い進まれてきましたが、本当は円安メリットがどのくらいなのか、を銘柄ごとに検証する段階が始まろうとしている、ということでしょう。

 

また、対ウォンでの円安進行で買い進まれてきた新日鉄住金やJFEは、原材料である鉄鉱石、石炭は全量ドル建てでの輸入であり、業績にとって基本的に円安はデメリットであることを忘れるべきではないと思います。