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2013年3月12日のマーケット・コメント

日経平均の上値めど引き上げ&高値時期見通し変更

 

2月18日のコメントで、

「高値のめどですが、過去の大相場の値幅が参考になると思います。最近20年間で「大相場」と呼べる株価上昇が4回ありました。1995年から1996年、1999年から2000年、2003年から2004年、2005年です。明確な上昇が始まってから高値までのおおよその期間と上昇率はそれぞれ、12ヶ月間で57%、13か月間で49%、12カ月間で56%、9カ月間で50%でした。値幅は上昇が始まってから大体5割、ということです。今回の上昇の起点を8500円、50%上昇するとすれば、12,750円となります。」

と書きました。

しかし直近の、予想以上の速さでの円安進行、予想以上の速さでの株価上昇(日本株だけでなく、米国株も)を受けて、日経平均の上値めどを引き上げます。

 

3月6日のコメントでは、

「現在、S&P500のPERは約15倍ですので、2013年度60%増益(現在最も強気な予想)を前提にTOPIXもPER15倍になるとすると、1,159.5となります。現状水準から約15%上昇ということです。日経平均の現状水準から15%上昇は13,700円になります。これらが、ファンダメンタルズから最大限正当化できる上値めど、と言えるでしょう。」

と書きました。

 

2013年度60%増益だとすると、日経平均のEPSは921円になり、PER15倍だと13,815円となります。また、上記の過去4回の「大相場」の上昇率は、49-57%であり、今回の上昇相場の起点を昨年11月14日終値である8,665円とすると、上値めどは12,910-13,604円となります。

 

以上を合わせて、日経平均の高値めどを13,500-14,000円とします。おそらく、13,000円を超えて、次は間違いなく14,000円超え、と多くの人が考えるが、多数派の思惑がここで外れて、14,000円には届かずにピークアウト、という展開ではないでしょうか。

 

高値を付ける時期ですが、2月18日のコメントで、

「以前に比べて相場展開が早くなってきていることを考えると、上昇持続期間は6-9カ月間というイメージでしょう。すると高値を付けるのは5月から8月頃となります。」

と書きました。これまでメインシナリオでは、本決算発表により2013年度大幅業績回復を織り込む動きが本格化するが、参議院選挙がある7月まで、が意識されるため1カ月前倒しで6月に高値、と考えていました。しかし、最近になって、あることに気がつきました。それは、「過去4回の上昇相場では、中長期外人投資家が日本株をニュートラルからオーバーウェイトに引き上げるための買いだった。しかし、今回はアンダーウェイトからニュートラルに引き上げるための買いである。」ということです。

 

ニュートラル・ポジションが中長期外人投資家にとって、「リスクを取っていない状態」であり、アンダーウェイトにせよオーバーウェイトにせよ「リスクを取っている状態」なのです。過去4回の上昇相場の場合、ニュートラルからオーバーウェイトへの引き上げですから、「本当に日本株上昇へのリスクを取って大丈夫か」を検証、確認しながら買うわけですから、上昇速度は緩やかに上昇期間は長くなります。しかし、今回はアンダーウェイトからニュートラルへの引き上げです。

 

わかりやすく状況を表現すると、「どうせ日本株なんか大したことはないのでアンダーウェイトのままでいいんだ。」と最初は高をくくっていたところ、押し目らしい押し目もないまま大幅上昇が続いて、「ここまで日本株が上昇するとは、全く考えていなかった。しかし、アンダーウェイト(日本株の下落にベット、上昇はリスク)を続けて、さらに上昇して相対パフォーマンスで負け続けるのは勘弁だ。何が起こっているのかよくわからないが、とりあえずニュートラル(リスクゼロ)に引き上げて、様子を見極めよう。」という事になります。株価大幅上昇の中のアンダーウェイトからニュートラルへの引き上げは、「損切り」と同じなのです。

 

皆さまも損切りの経験がおありかと思います。損失ポジションをクローズする時の心理を考えてみてください。もういい加減にいいだろうと損失ポジションをある程度引っ張った後に、「もうこれ以上は耐えられない」となって損切りに至るわけです。一旦損切りを決めたら、時間をかけたりせず、即座にポジションをクローズしたはずです。それと同様に、中長期外人投資家の4月以降の買いは、時間をかけたりしないはずです。本決算を見たい、という心理は働くと思いますので、4月高値の可能性は低いと思いますが、5月高値の可能性はかなり高い、と思います。最も早ければ、ゴールデンウィーク直後に大幅上昇して、そこで高値を付ける、という形です。

 

基本的には「ちょっと早い」行動が理想であるため、「もう少し上がるかもしれないけど、自分としてはこのくらいでもう逃げる」という行動が結果的には正解、となりそうです。ただ、高値を付けた後も、しばらくは最後まで買えなかった投資家の押し目買いがしばらく入るでしょうから、逆V字型にすぐに下落に転じる、という事はないため、買いポジションを利食う時間はあるでしょう。しかし高値覚えで、あまり長く引っ張るといいことは一つもないでしょう。いずれにせよ「頭としっぽはくれてやれ」という気持ちが大切です。

 

以上の内容とは関係ありませんが、短期的には、最近の上昇のピッチがやや早すぎるので、しばらくはもみ合いか日経平均12,000円程度までの軽い調整の可能性が高いと見ています。買いポジションを十分取れていない投資家にとっては、いい買い場となるのではないでしょうか。