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2013年3月18日のマーケット・コメント

キプロス発の調整局面-下値めど

 

週末に、財政再建中のユーロ加盟国キプロスで、100億ユーロの救済策の一環として、銀行預金課税として、10万ユーロ以下の預金には6.75%、10万ユーロ以上の預金には9.9%の税率で課税する計画であることが明らかになりました。キプロス国内で混乱が始まっており、ユーロ再建に新たな混乱要因となることを嫌気して、ユーロは急落し、それに引っ張られる形でドル円も94円台まで調整し、日経平均も大幅下落となっています。

 

基本的な見方として、これで円安、株高の流れが変わるとは思えず、流れの中でのスピード調整的な調整であると思われます。今回の問題は、明らかにユーロ売り要因ではありますが、ドル円には関係ない事象であること、今週日銀総裁副総裁が後退し、4月3,4日の日銀政策決定会合に向けて積極金融緩和実行への期待が高まっていくこと、中長期外国人投資家は依然としてまだ十分に(アンダーウェイトからニュートラルまで)日本株を買えていないこと、以上がその理由です。今回のキプロスでの課税方法が、経済規模の中佐なキプロスだけにとどまらず、スペインやイタリアなど経済規模の大きなユーロ圏財政問題国にも適用される、ということになったら世界的経済混乱に発展してしまいますが、それは誰もが理解していることであるためその可能性は小さいでしょう。また、仮にそうなるにしても、その方向性が打ち出されるのはまだまだ先のことでしょう。

 

それでは今回の調整の下値めどですが、まず意識されるのは25日移動平均線でしょう。本日時点で日経平均は11,728円ですが、大きな波乱がなければ1日で40-50円上昇していきますので、来週中には12,000円に達する見込みです。ドル円は93.94円で、本日早朝のオセアニア時間に一時その水準を割り込み、93.70円まで下落した後に25日線の上まで反発しています。ただ、イタリア選挙直後の調整の際には、一旦完全に25日線を下回る局面がありましたので、まだ調整終了とは言い難いです。

 

別の見方をします。今回のドル円と日経平均のいわゆるアベノミクス相場では、短期的な調整幅は日経平均は直近高値から約500円、ドル円はドルの直近高値から2円(ただしイタリア選挙後の時だけ4円)でした。日経平均、ドル円の直近高値は、それぞれ12,561円、96.72円ですので、下値めどはそれぞれ12,000円強、94円後半となります。ドル円に関しては、前回のイタリア選挙の時と同様に、今回も外部の悪材料を伴うため調整幅が4円になるとすると、92円後半という事になります。

 

合わせて考えると、日経平均の下値めどは12,000円近辺、ドル円は92円後半から93円後半の間と考えます。まだ円安株高の「アベノミクス祭り」は終わっていないと思われるので、十分ポジションをお持ちでない方は買い場と捉えて頂きたいと思います。