3月のFOMC
昨日のNY時間に3月19,20日に行われたFOMCの結果声明文が発表されました。米国雇用市場や米国景気に一定の改善傾向が見られることを認めたものの、毎月400億ドルの住宅ローン担保証券と450億ドルの国債を買い取るQE3は、失業率が6.5%以下あるいは向こう1-2年のインフレ見通しが2.5%以上にならない限り、期限を設けずに継続する、という従来の内容が強調されました。
ただしその一方で、バーナンキ議長は
「目標に向かって状況が進展すれば、金融緩和の規模を適切に調整するため、月ごとの購入額を変更する可能性がある。購入規模という政策の変数をもっと継続的で敏感な方法で、見通しの変化に対応させる方が妥当であると考えている。」
と発言しました。
前回のFOMCで初めて、QE3の「縮小」という文言が使われましたが、やはり一気に終了させるという事ではなく、徐々に毎月の購入額を徐々に減少させ、フェードアウトの形でQE3を終了に持っていく、という方針であることが確認されました。「一気に終了させる」ということであれば、その結論に至る条件は高いハードルになるでしょうが、「徐々に減額」ということであれば、減額第1弾に至る条件のハードルは低くなると思われ、このまま米国景気や米国雇用市場の改善傾向が続けば、今年後半(おそらく10-12月期)に減額第1弾が行われる可能性はかなり高いと思われます。
以前もお伝えしたように、たとえ少額でもQE3の減額が始まれば、市場は米国金融政策の積極金融緩和から正常化への転換を本格的に織り込み始めると思われ、為替市場ではドルの独歩高が始まるでしょう。日本がコントロールしている円の独歩安による円安ドル高から、日本がコントロールできないドルの独歩高による円安ドル高が始まる、ということです。その場合にはドル円は100円を大きく超えて円安ドル高進行となるでしょう。その時期には、円安のメリット(日本の企業業績への好影響)は期待ほどではなく、円安のデメリット(輸入物価の上昇)は完全に表面化している可能性が高く、円安進行でも株高とならず、日本の長期金利が徐々に上昇に転じていると思います。