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2013年4月1日のマーケット・コメント

本日の調整から言えること、そして日銀決定会合を見据えて

 

新年度初日の本日は、久しぶりに寄りから場中ずっと下げ続け、安値で引けました。日経平均やTOPIXの下落率もかなりのものでしたが、特に直近まで株価が上昇していた中小型銘柄の下落が目につきました。東証REIT指数は7.3%下落、東証マザーズ指数は9.2%下落という事が、それを表しています。TOPIXもコア30やラージ70の下落が3%前後だったのに対して、ミッド400は3.7%、スモールは4.4%下落となりました。これらのことから言えることは、本日の現物株の売り手は、株価上昇に順張りで臨んできた個人投資家だったということです。加えて、短期外人投資家の先物の売りが入っていた、と言えるでしょう。

 

以前から、信用残変化全体分析でお伝えしているように、中小型銘柄には株価上昇の下で信用買い残が増加した(短期投資家が順張りで買い上がった)銘柄が少なくありません。しかし、本日のような大幅調整を見てしまうと、戻りを買い上がることには恐怖感を感じ、積み上がった信用買い残が整理される形で、株価急落の後もじり安となる銘柄が多数となるでしょう。特に、出来高が急減してしまったら、じり安傾向はほぼ確定ですので、そのような銘柄への押し目買いは非常に危険だと思います。

 

一方で、中長期外人投資家の買いはまだ終わってはいないと思われます。円安進行で始まった今回のアベノミクス相場ですが、円安に業績の恩恵を受ける輸出関連主力銘柄の株価は、日経平均が上昇を続けてきた中、そのほとんどが過去2-3カ月もみ合っています。4月4日の日銀金融政策決定会合の後に、買いの物色の対象が輸出関連主力銘柄に戻り、2013年度の業績回復を完全に織り込む、GWを挟んでの決算発表時期までは上昇のけん引役となる可能性が高いと思われます。GW明けまで想定されるアベノミクス祭りのメイン・イベントに参加するためには、トヨタ、ホンダ、富士重工などの自動車銘柄の押し目買いが安全確実だと思われます。先物やETFで、日経平均やTOPIXを買うのもいいでしょう。

 

気になる4月4日の決定会合の内容ですが、これまでに報道されている、国債買い取り枠の拡充(白川総裁時代に2014年以降とされた無制限買い取りの前倒し実行)、買い取り対象国債の長期化(これまでは残存1-3年の国債に限られた)、という方向性はそのまま発表されてくるでしょう。問題は、枠の拡充にせよ買い取り対象国債の長期化にせよ、具体的な数値が示されるか、それとも総論としての方向性を打ち出すにとどまるか、だと思います。総裁、副総裁が新体制となってから、まだ2週間しか経過していませんので、具体的な数値を詰めるには時間不足で、4日の段階では総論にとどまる可能性はあると思います。しかしその場合でも、次の決定会合が4月26日に予定されていますから、そこでの数値発表に向けて市場は期待感を高めていくことになるでしょうから、4月いっぱいは円安、株高の基本的な流れには変化はない、と思います。

 

もし4日の決定会合で、買い取り対象国債を残存1-3年から残存1-5年に拡充する、などと発表したら、間違いなくネガティブ・サプライズになると思いますが、さすがに日銀新体制もそれは理解していると思われ、その可能性はないと考えて問題ないでしょう。

 

マイナーシナリオとして、後で振り返ってみれば、3月21日の日経平均12,650円が高値だった、となる可能性は否定できません。ただその場合でも、4月中はもみ合いとなると思われますので、4月の早い段階で降りなくてもダメージは限定的だと思います。