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2013年4月11日のマーケット・コメント

中長期外人投資家の最後の買いか-「祭り」から帰るタイミングは?

 

今週に入って、明らかに大型株に特化した買いが入っています。昨日は日経平均が+0.7%、TOPIXが+1.7%だったのに対して、TOPIXコア30は+2.3%でした。本日も同様の動きです。大型株の多くは、これまで株価がもみ合いないしは緩やかな調整となっていたため、出遅れ感から買われやすかったという面もありますが、主要な買い手は明らかに中長期外人投資家だと思われます。さらに言うと、この大型株に特化したような買い方をするのは、普段あまり日本株の個別銘柄をフォローしていないタイプの外人投資家です。

 

おそらく、ここまで日本株をずっとアンダーウェイトで放置してきたが、四半期が変わって資産配分が変更になり、日銀決定会合で上放れてしまい、ニュートラルまでの引き上げをここにきて行ってきている、という事だと推察されます。以前もご説明しましたが、アンダーウェイトからニュートラルへの引き上げは、彼らにとってリスクがある状態からリスクのない状態への変化であり、ひとたびそれを決断したら時間をかけずに実行するものです。したがって、そのような外人投資家の買いは、どんなに長くても今月中、早ければ今週来週で終わると考えられます。

 

今後の日本株の見通しですが、まずは週刊エコノミスト臨時増刊号に掲載された、私の原稿をご紹介します。これは3月半ばに執筆したものです。

 

「日銀新総裁、新副総裁が就任し、今後は新日銀体制の積極金融緩和実行を織り込み始める形で、円安株高が進行していくだろう。さらに4月から5月にかけて発表される2012年度本決算と同時に発表される2013年度会社業績見通しで、2013年度の大幅増益期待が高まり、株高に弾みがつくと見る。当初の会社業績見通しはアナリストのコンセンサスに満たない水準になる可能性が高いが、アナリストは「会社予想は控えめ、上方修正余地が大きい」と業績回復期待を煽ってくると思われる。ここまで年金資金などの中長期外人投資家はあまり日本株式を買えておらず、彼らが主な買い主体となろう。

株価上昇がピークを付ける水準、時期は、それぞれ日経平均13,500円-14,000円、6月と見る。まず、日経平均の上値めどだが、過去20年大幅な株価上昇局面が4回あった。1995年から1996年、1999年から2000年、2003年から2004年、2005年だ。その4回とも株価上昇が始まってから上昇が止まるまでに、49%-57%上昇した。今回の上昇の始まりである昨年11月14日の日経平均終値は8665円で、そこから49%-57%の上昇は12,911円-13,604円円となる。現在最も強気な業績予想は2013年度60%増益だが、これをベースにして米国株並みのPER15倍が日経平均13,800円であるため、その水準が指標から見ても上昇の限界といえるだろう。株価上昇が一服する時期として7月の参議院選挙を意識する市場関係者が多いため、それよりやや前倒しでピークを付けるだろう。

7-9月期以降は、円安の恩恵を中心に本当に2013年度業績が期待通り、あるいはそれ以上となるか、という検証の段階に入る。それがはっきりするまでは株価はもみ合いとなるだろう。中間決算が発表される10-12月期頃になると、円安の弊害である輸入物価上昇は明確に表面化する一方で、過去の円高対策の裏返しで円安の業績への恩恵は期待ほどではないことが判明し、株価は下落を始める可能性が高い。もしその頃に、インフレが立ち上がっていて長期金利の上昇が始まっていたら、株価下落の可能性は一層高まるだろう。」

 

このうち、値幅(高値のめど)に関しては見通しに変更ありません。つまり、現状水準からの上値余地は、かなり限られてきたと言えます。一方で、高値を付ける時期については見通しを修正しています。現在の見方は、4月後半に一旦高値を付け、その後、4月26日の日銀決定会合では何も出てこない、4月最終週から発表される2013年度の会社見通し業績が控えめである、などから5月から6月前半までは調整、その後6月11日の日銀決定会合で新規材料が出るか、同じ時期に政府から具体論に踏み込んだ成長戦略が出るか、などから参議院選挙に向けて反発、参議院選挙で自民党大勝利、衆参で安定過半数獲得で、戻り高値をつけ、後は下落トレンド入り、というものです。

 

つまり、「祭りから帰るタイミング」は4月最終週、ということになります。日経平均で14,000円に迫る局面があったら、それより早くてもいいと思います。もちろん、私の予想に反し、GW後も更にしばらく上昇するかもしれません。とは言え、一番の高値で全部売るなどという神業を狙うよりも、ちょっと早いかもしれないがいやな思い(含み益が減る)をするよりよっぽどいい、と考えるべきだと思います。「高値を確認してから売ればいいじゃないか」と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、言うは易しで、最高値を付けている日には「高値を確認」などできず、それができるのは最高値から相当に下落した時であり、その時は「高値覚え」でなかなか売れないものです。

 

6月半ばから参議院選挙までの戻りを取りに行くかどうかは、投資期間のスタンス次第ですが、私としては参議院選挙後に高値を付けてから抵抗なくカラ売りを始めたいため(買いポジションからドテン売りポジションにするのは、気分的に難しいものです)、基本的には戻りを取りに行くのは控えようと思っています。