ミョウジョウ・アセット・マネジメント株式会社の運営する会員制金融情報サイトです。

2013年4月15日のマーケット・コメント

G20に向けて-米財務省コメントの意図

 

先週金曜日の米国時間に、米財務省が公表した外国為替報告書で、競争的な通貨の切り下げを控えるように日本に迫る方針を表明しました。それがきっかけとなり、12日NY時間から本日にかけて、ドル円は調整局面となっています。これまで、日本の積極金融緩和、円安誘導を容認どころか支援する、としていた米国が、なぜここにきて意見を変えてきたのでしょうか?理由は2つ考えられます。

 

一つは、G20に向けて、日本の積極金融緩和政策&円安誘導策に対する、不自然な支援姿勢を打ち消すこと、です。昨年11月半ば以降、わずか半年もたたないうちに、ドル円で言うと70円台から100円手前まで、30%近くも円安が進行しました。この間は円の独歩安になっており、他の通貨に対しても同様の円安となっています。通常、政治家は「急激な変化」を嫌います。それが「人為的なもの」であればなおさらです。実際、これまでにドイツ、中国、ロシアなど各国から、急激な為替レートの変動をもたらしたアベノミクスに対する警戒感が表明されています。今週末に米国で行われるG20を前にして、議長国である米国としても「不自然な支援姿勢」を取り続けるよりも、他国に合わせた「急激な変動への警戒姿勢」を取ったほうが、G20を円滑に進めやすい、ということなのでしょう。

 

もう一つは、私の妄想だと思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、日本からの要請、です。これまで政財界要人の発言や先日の日経新聞のアンケートにあったように、円が安くなればなるほど日本にとって都合がいい、と考えている人はほとんど存在せず、多くの人がドル円で言えば100円位で安定してくれるのが日本にとって都合がいい、と考えています。先週、ドル円は100円タッチ寸前のところまで行きました。このペースで円安が進行し続けると、7月の参議院選挙の際に、早くも「円安の行き過ぎ」という事が議論されかねません。そうは言っても、これまで一貫して積極金融緩和&円安誘導を主張してきた安部政権と黒田日銀総裁が、ここにきて円安進行にブレーキをかけるような発言ができるはずはありません。そこで、円安進行にブレーキをかけるような発言を、米国にしてもらうように要請したのはないか、と考えられるのです。

 

やはり、以前お伝えしたように、米国FRBのQE3縮小を市場が本格的に織り込み始めるまでは、ドル円は95-100円のレンジでのもみ合いが続きそうです。では市場がいつQE3縮小を本格的に織り込み始めるか、ですが、メインシナリオでは今年の10-12月期です。QE3縮小を織り込んでいくためには、雇用をはじめとする米国経済指標が強いものが続く必要があります。例年、米国の経済指標は季節調整による統計処理上の問題により、4月分(5月発表)から7月分(8月発表)は指標が弱めに出る傾向があります。今年もその傾向があるのであれば、7-9月期にはまだ経済指標が弱い状態である可能性が高いことから、10-12月期と考えられます。もし、4月分から強い数字が続くようであれば、早ければ8月頃からQE3縮小を織り込み始める可能性はあります。ちょうど日本では参議院選挙が終わり、4-6月期の業績発表が終了する時期です。

 

今週、ドル円が調整、日本株も調整となれば、G20明けとなる来週は反発となりそうなので、いよいよ日本株は「祭りから帰るとき」です。