今日か明日が日本株の高値か
今週は「アベノミクス祭り」から帰るとき、とすでにお伝えしましたが、今日か明日が日本株の高値になるのではないか、という見通しを、水準、時期の両面からご説明したいと思います。
まず、水準です。以前にもご紹介しましたが、もう一度「週刊エコノミスト臨時増刊号」の記事を引用させていただきます。
「日経平均の上値めどだが、過去20年大幅な株価上昇局面が4回あった。1995年から1996年、1999年から2000年、2003年から2004年、2005年だ。その4回とも株価上昇が始まってから上昇が止まるまでに、49%-57%上昇した。今回の上昇の始まりである昨年11月14日の日経平均終値は8665円で、そこから49%-57%の上昇は12,911円-13,604円円となる。現在最も強気な業績予想は2013年度60%増益だが、これをベースにして米国株並みのPER15倍が日経平均13,800円であるため、その水準が指標から見ても上昇の限界といえるだろう。」
以上の考え方は今でも変わっておりません。本日の日経平均は13,843円の高値引けとなり、水準としては完全に高値めどに達しました。ただし、水準だけで相場見通しを立てるのは危険です。上げ相場でも下げ相場でも、トレンドが出た相場には「勢いによる行き過ぎ」が起こることが多いからです。
そこで、時期を考えます。一つ確実なことは、今日明日から決算発表が本格化する、ということです。特に、明日の引け後から決算発表社数は急増します。いつでもそうですが、決算発表時期は個別の業績に注目され、発表内容によって個別銘柄の株価の動きにはばらつきが出ます。特に今回は、2013年度にどの程度の業績回復が見込まれるか、に期待と注目が集まっていると思われ、株価反応のばらつきは通常よりも大きくなると思います。景気敏感製造業の多くは、2013年度の業績回復を見込んでくるでしょう。しかし、問題は「程度」です。各企業が決算発表時に示してくる回復の程度は、2013年度業績見通し発表の初回なわけですから、当然やや慎重な(控えめな)数字を入れてくる企業が多くなるでしょう。業績回復見通しだが、アナリスト・コンセンサスには届かず、というパターンです。それが全体として、どの程度の日経平均あるいはTOPIXの押し下げ要因になるのかは、はっきりわかりませんが、少なくとも言えることは「押し上げ要因にはならない」ということです。
次に、需給面です。上昇相場が続くためには「積極的な買い手」の存在が不可欠である、ということは説明するまでもないことでしょう。昨年11月半ばからのアベノミクス相場では、最初の積極的買い手は、ヘッジファンドを中心とする短期機関投資家、2,3月頃からは個人投資家と一部の中長期外人投資家、4月は買い遅れていた中長期外人投資家でした。実際、4月9,10,11日の3日間は明らかに中長期外人投資家が買ってきていました。2013年4月11日付のコメントをご参照ください。そこでご説明したように、4月いっぱいで中長期外人投資家の買いは一巡する可能性が高く、この点からも今週高値を付ける可能性が高い、という事になります。
5月か6月に付けるであろう目先の安値のイメージは、少なくとも高値から5%、最大限10%程度の下落、です。仮に日経平均の高値が14,000円とすると、12,600-13,300円という事になります。その後、参議院選挙に向けて戻り相場を想定しています。戻り高値は前の高値を抜かない可能性が高い、と思っていますが、もし高値を更新したとしてもそれは「誤差の範囲」であり、基本シナリオを変更する必要はない、と考えます。