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2013年5月10日のマーケット・コメント

早くも米国主導の円安始まる

 

昨日の米国で、新規失業保険申請者件数が予想以上に減少したこと、およびフィラデルフィア連銀のプロッサー総裁が「2013年末には失業率は7%に低下するだろう。来月のFOMC(6月18、19日)でQE3の縮小が決定されることを望む。」と発言したことを受けて、ドル円は一気に100円を突破し、それを受けて日本株も大幅上昇となりました。また、長期国債先物は大幅下落となりました。

 

以前からお伝えしているように、100円を明確に超えて円安進行するためには、市場がQE3の縮小を本格的に織り込む必要がある、と考えていました。想定していたよりも時期はかなり早まりましたが、早くも円安進行は日本の手を離れ、米国主導のフェーズに入ってきたという事でしょう。

 

円安進行が日本の手を離れ、米国主導のフェーズに入ってきた、ということは、日本にとって過度な円安進行のリスクが意識され始める、ということですので、そう考えれば本日の日本国債先物の大幅下落は理解できます。

 

しかし、どうにも理解に苦しむのが、日本株の大幅上昇です。決算発表が進み、数多くの製造業企業で、円安の業績押し上げ効果が期待ほどではないこと、円安以外にも業績不振の原因が少なからず存在すること、が明らかになってきました。また、4月の黒田緩和後から日本株とドル円の相関性は薄れてきていました。そこに来て今日の大幅上昇です。

 

上昇にせよ、下落にせよ、大きな相場にはオーバーシュート(行きすぎ)が付き物です。今日の大幅上昇銘柄を見ると、すでに決算発表を終え、円安効果は大したことなく、今期の業績回復力も大したことはないことを示したはずの銘柄も、数多く含まれています。このようなロジカルではない動きは、まさにオーバーシュートと解釈されます。「頭としっぽはくれてやれ」という相場の格言があります。私は一昨日、高値宣言のコメントを出しました。今まで何度も「最高値を当てることなど無理だ」と言っておきながら、一昨日が最高値だと、最高値を的中させたつもりでいました。今日は「ああ、やっぱり頭はあった。」と感じています。