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2013年5月14日のマーケット・コメント

日本長期国債3日連続大幅下落

 

先週金曜日に、米国でQE3縮小が予想以上に早期に始まる可能性を織り込んで、長期国債は大幅下落しました。今週に入っても長期国債の下落は続き、本日の長期国債先物市場では一時サーキットブレーカー発動(価格が1円下落)となり、3日間で2円50銭以上の下落となりました。約1.75%の下落です。黒田緩和前までの債券先物のボラティリティは約2%でした。日経平均の通常時のボラティリティがその10倍の約20%ですから、日経平均でいうと17.5%の下落、現状の水準で考えるとおよそ2,600円の下落という事になります。下落の激しさをイメージできると思います。

 

今週は債券が大幅下落するようなニュース・フローは特に見当たりません。本日行われた30年債の入札も特段の波乱なく終了しました。為替も日本株も今週は狭いレンジでのもみ合いです。しかし、債券市場は現実に大幅下落しています。この背景について考えてみたいと思います。

 

国債の90%以上が国内で保有されていますので、国債が大幅下落しているという事は、国内機関投資家が国債を売却していることが背景にあることは間違いないでしょう。この短期間で総資金量が急減しているという事はないはずなので、国債を売却して他の資産に振り向けている、という事だと思います。では振り向け先は何でしょうか。可能性として、融資、日本株、不動産、外国株、外国債券が挙げられます。このうち、日本株、外国株の可能性はないでしょう。国内機関投資家は、依然として株式への配分を減らす過程にある上、最近の株価上昇で時価が増加しているわけですから、株式は振り向け先どころか売却対象でしょう。融資や不動産も国債売却資金の振り向け先としては考えにくいので、そうすると外国債券ではないかと考えられます。

 

国内機関投資家のうち、銀行は基本的には為替リスクを取って外国債券を買う事が出来ません。したがって、国債の保有額を減らし外国債券に振り向けているのは、生保と国内年金だと思われます。少し前に、生保が外国債券投資を増やすことを検討、という趣旨の報道がありました。日本国債の利回りでは、要求される利回りが満たせず、為替リスク(円高リスク)が限定的と判断するのであれば、外国債券投資は合理的な選択です。

 

日本国債を売却して外国債券を購入するということは、円売り外貨買いですから、円安進行要因になります。日本株には、需給の直接的影響はありませんが、理屈からすれば長期金利の上昇はバリュエーションの押し下げ要因となり、株価下落要因になります。

 

ところで今日の日本株ですが、日経平均は高値圏でもみ合っている中、値上がり上位銘柄を見ると、東京電力をはじめとする電力株全般、ルネサス・エレクトロニクス、日本海洋掘削、ドワンゴなど、株価が足元の業績やバリュエーションで到底正当化できない銘柄ばかりです。まさに「上昇相場の末期」という様相です。