目先は円高株安、その後円安株高、そして円安株安
昨日、米国でFOMCの声明が発表されました。毎月合計850億ドルの債券購入は続け、経済状況次第でその規模を縮小または「拡大」させる、という内容でした。これまで、規模の「縮小」という表現は回を追うごとに、トーンを上げて使われていましたが、拡大という表現は初めてです。FRBとしては、継続か縮小か、というように市場に織り込まれないように気を使い、拡大という表現も盛り込んできたと推察されます。為替市場でのドル高圧力は、しばらくやや弱まるでしょう。
また民間企業であるADPが集計した、ADP雇用統計も発表され、4月の雇用者数増加は11.9万人と、コンセンサスの15万人を下回りました。5月3日に雇用統計発表がありますが、そこでも弱い数字が出てくると一段とドル高圧力が弱まり、ドル円は円高ドル安方向へ振れるでしょう。ボストンでテロがあった4月16日の安値である95.79円と同水準位の調整はあり得ると思います。ただし、95円を割ることはないとも思いますので、96円から下は絶好のドルの買い場となるでしょう。
日本株は、業績発表内容が芳しくないものが散見される中、為替も円高方向へ調整しており、目先は下落基調となる可能性が高いと思います。昨日のコメントでお伝えしたように、5月いっぱいは大きな反転は望めないでしょう。6月から7月の日本株の反転局面では、為替は再び円安ドル高となり、100円トライはあるでしょう。ただし、QE3縮小を本格的に織り込むことができるまでは、100円を明確に上回ることはないでしょう。
参議院選挙が終わり、QE3を本格的に市場が織り込みに行く時には、円安のメリットである業績押し上げ効果は期待ほどではないこと、また円安のデメリットである輸入物価の上昇は、はっきりと顕在化していますので、円安株安の始まりです。2014年は、今はほとんどの市場関係者が想像していない、厳しい相場になるでしょう。今の相場はよく「ミニバブル」と表現されます。80年代後半のバブルの後にどんなことが起こったのかを考えれば、今のミニバブルの後にどんなことが起こるのか、想像できると思います。