バーナンキ議長の議会証言&日本株高値サイン
昨日、米国でバーナンキFRB議長の議会証言が行われました。事前に配布された原稿では「量的金融緩和縮小は尚早」とあったため、米国株式市場は上昇し、NYダウは一時150ドル高となりました。しかしその後、質疑応答で「引き続き景気改善が見られ、その改善が持続的だと確信した場合、今後数回の会合を経てQE3縮小を決定することもあり得る」と発言したことを受け、米国株は失速、逆にドル円は一時103.74円まで円安ドル高が進みました。
これまで、フィラデルフィア、ロスアンゼルス、ダラスのそれぞれの連銀総裁(FOMCの参加メンバー)が、早期のQE3縮小を示唆する発言をしてきました。その後のバーナンキ議長の議会証言だっただけに、QE3の行く末を示唆する発言に市場は注目していました。今回のバーナンキ議長の発言は「状況に応じてQE3をどうするか判断する」という従来からの発言の繰り返しでしたが、前回のFOMC声明の「状況に応じてQE3を縮小あるいは拡大させる」という「拡大」のニュアンスはなくなりました。
各連銀総裁の「あくまでも個人的な意見だが」というベースでのQE3早期縮小発言は、その決定を発表した時に、良くも悪くも市場のサプライズ的な反応を避け、徐々に市場に織り込ませるためだと思われます。グリーンスパン時代からFRBの得意技であり、「市場との対話」とも言われます。今回の一連の動きで、このまま米国経済指標、特に雇用指標の順調な回復が続けば、かなり高い確率で9月17,18日(次の次の次)のFOMCでQE3縮小が決定されると思われます。
これでドル円レートは、ドル高がけん引する円安ドル高ステージに入っていくことが確認された、と思います。ドル・ロング・ポジションは持たざるリスクが一段と高まった、ということです。
日本株ですが、NYダウが80ドル安だったにもかかわらず、103円を超えての円安進行を好感して、一時日経平均は300円を超える上昇となり、16,000円にあとわずかに迫りました。ところが、前場中に急落を始め、後場になってさらに急落し、今日の高値から一時800円を超える下落となりました。これが待っていた「高値圏での急落」です。これが起こってしまったら、戻りはあっても、もう高値は取れません。
ニュースフローから想定する株価高値のイメージは、6月の成長戦略発表で出尽くし、です。ほぼ全員が日本株に強気で、アベノミクス第3の矢である成長戦略発表で上昇に弾みがつく、と期待しています。だからこそ、たとえどんなに素晴らしい矢が放たれても、それまでに市場には期待感が目いっぱい織り込まれているので、出尽くしとなると思うのです。「高値での急落」という、現象から判断されるピークアウトのサインは今日出ました。合わせて考えると、1.日経平均の高値は今日の高値の15,943円である、2.目先は下値模索、その後に成長戦略発表に向けて戻るが高値は更新しない、3.成長戦略発表後はじり安、ということになるでしょう。