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2013年5月29日のマーケット・コメント

テンプルトンの名言

 

米国の偉大な投資家ジョン・テンプルトン氏の有名な名言があります。「相場は絶望の中で生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感とともに消えていく」という言葉です。今回のアベノミクス相場が、まさにこれにぴったり当てはまると思います。

 

昨年11月14日時点では、ほとんどの投資家が日本株に対して「絶望」していたでしょう。日本株上昇が始まっても、中長期外人投資家がなかなか買わなかったことであらわされるように、「懐疑」の中で育っていきました。4月の黒田緩和で、多くの人が「バズーカ砲」という表現を使い、絶賛しました。買い遅れていた中長期外人投資家も本格的に買い始め、ものすごく強気な市場見通しが台頭し、日本株市場参加者は「楽観」に包まれたでしょう。

 

5月の連休明けから日本株上昇は一段と加速し、為替も米国株も動いていないのに、日経平均は300円以上上昇する日が何日もありました。5月23日午前10時30分ごろ、日経平均が15,943円になった時、「幸福感」とともに誰もが16,000円突破を予想していたでしょう。そしてその後の急落により、上昇相場は消えました。

 

まだほとんどの人は、相場が消えていく段階に入ったとは思っていないでしょうから、来週、再来週あたりに戻り相場はあり得るでしょう。しかしその戻りは、新たに買いから入って取りに行く戻りではなく、売り損なってしまった人が売れる最後のチャンス、と捉えるべきだと思います。

 

今日も日本株は、引け際に急落しました。ここ数日のような、日中に乱高下する状況が続けば続くほど、投資家のリスク許容度は低下し、新たなポジション整理へとつながっていきます。短期投資家の動きも、より短期に、狙う値幅は小さくなっていきます。そしてそれが次の乱高下につながっていくのです。自分は投機家だと自負する人以外は、新たに参加する状況ではない、ということです。