上げ過ぎて下げ過ぎて、あるべきところに戻った株と為替-ドル円と日本株の今後予想される相関
日本株、ドル円ともに、先週金曜日の米国雇用統計が予想よりもやや強い数字だったことで、底入れし戻ってきました。6月3日のコメントに書きましたが、日経平均は25日線と75日線の間でのもみ合いを予想していました。結果的には、5月23日前場までに上に行きすぎた日本株は、一気に買われ過ぎが修正され、上に行きすぎた反動で下に行き過ぎて、ようやくイメージしている居所に戻った、という状況です。
目先は日本株もドル円も同様に、25日線と75日線の間でのもみ合いだと予想します。本日昼休みに日銀決定会合で何も追加政策がないと報じられ、日経平均もドル円も一時75日線トライまで下落しましたが、サポートされ戻ったことでその可能性が高まったと思います。今日時点では、日経平均でいうと13,185-14,242円、ドル円でいうと97.81-100.78円です。ただし日経平均、ドル円ともに25日線はすでに下落傾向に入っていますので、毎日少しずつ低下していきます。来週の米国FOMCでQE3縮小について、一段と強いトーンでの声明があれば、日経平均もドル円も25日線トライまでの上昇となるでしょう。
その後の日本株とドル円の相関ですが、時間をかけて徐々に相関が失われていくと予想します。2010年以降、日経平均のドル円に対するベータ値は、およそ2で推移してきました。つまり、ドル円が1%変動すると日経平均は2%変動するという関係だったということです。4月の黒田緩和発表の少し後の4月半ばから、ベータ値2の関係が崩れ、ドル円に対して日経平均が大幅に上昇し、5月23日以降の日本株の急落で上昇し過ぎた分が一気に修正されました。アベノミクス相場スタート直前のドル円は79.99円で現在98.50円ほどですから、約23%の円安進行、日経平均は11月14日に8,665円でしたので、ベータ値2だとすれば46%上昇で12,651円となります。今日現在で、日経平均はその水準よりやや上ですが、誤差の範囲内といえるでしょう。
今後予想することは、日経平均のアップサイド・ベータ値は2よりも低下し、ダウンサイド・ベータ値は2よりも上昇していく、ということです。つまり、ドル円が1%円安になった際には日経平均は2%も上がらず、1%円高になった際には2%以上下落する、ということです。今後予想される展開ですが、まずドル円はQE3縮小、そして終了を市場が織り込んでいき、ドル高がけん引する形で円安ドル高進行となるでしょう。一方、日本株は今後、今期業績動向が予想と比べてどのようになるかを検証していくわけですが、中間決算発表の頃には下期の業績回復に疑問が浮上するでしょう。つまり、25日線と75日線との間でもみ合った後、最終的にドル円は25日線を上抜けするが、日経平均は75日線を下抜けする、ということです。
以前から繰り返しご説明しているように、日本株とドル円の関係は、円安株高から最終的には円安株安になると思います。しかし、あるところからスイッチが切り替わったように突然変化するということは考えらません。まずは、ドル円に対する日本株のベータ値が上記のように変化し、順相関(円安株高)が弱くなっていき、その次に想定されるのはドル円と日本株の間の相関が無くなり、さらに徐々に逆相関(円安株安)が強まっていく、と予想します。ドル円レートでいうと、105円位までは弱まりながらも順相関が何とか保たれるが、105-115円では相関はほとんど失われ、115円-120円を超えると逆相関が強まっていく、というイメージです。時期としては、今年年末のドル円レートは105-110円、来年には120円を突破すると見ています。