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2013年6月12日のマーケット・コメント

空気が読めなかった黒田日銀総裁

 

昨日のコメントは、後場中に書きました。その後、黒田総裁が会見をし、ロンドン時間で急激に円高が進行、その流れのままNY時間でさらに円高が進行し、昨日東京時間の98円前半から一時95.59円まで円高となりました。前回のNY時間での急激な円高が、逆指値や強制ロスカットといった、いわば機械が機械的に行った結果ではなく、今回は明らかに人間が失望により行動した結果です。何が問題だったのでしょうか?

 

決定会合の内容は、すでに昨日の昼休みに発表され、一瞬の円高株安の動きはあったものの、後場には消化されていたはずです。ところがロンドン時間になって新たな動きでした。この原因は、黒田総裁の会見以外には考えられません。会見内容は、あまりにも楽観的で、これだけ為替も株も大きく動いているにもかかわらず、能天気な発言を繰り返しました。一言で言うと、市場の空気が読めていませんでした。外人投資家は、黒田総裁は市場に対する配慮があまりにも無さ過ぎる、と失望したに違いありません。「市場との対話の欠落」は外人投資家が最も嫌う中央銀行総裁像なのです。この点、伝統的にFRBは上手です。だからこそFRBに対する信任は厚いのです。

 

自民党政権サイドからは、今回の黒田会見についてそうとう批判があるのではないでしょうか。参議院選挙前という重要なタイミングで、決定内容で市場が動いたなら仕方ない面もあったでしょうが、会見で外人に失望されたわけです。誰がどう見ても、黒田総裁の物の言い方に問題があったことは明らかです。黒田総裁は、今回の反性を大いに生かして、7月11日の決定会合とその後の会見を行うでしょう。参議院選挙までの最後の決定会合ですから、政治サイドからのプレッシャーも相当なものになるでしょうし。

 

来週FOMCがありますが、今回の黒田会見で外人投資家が黒田金融政策に疑問符をもった以上、ドル円が100円を超えるのは7月11日の日銀決定会合を待たなくてはならないと思います。FOMCをうけて90円台後半(おそらく97-99円が中心レンジ)でのもみ合いで落ち着き、7月11日を迎えるという流れでしょう。そこでは100円を超える可能性は高いと思います。

 

日経平均は今日13,000円で踏みとどまっています。やはり、13,000-14,000円での値動きの荒いもみ合いが続く、という見方でいいと思います。