空気を読んでほしいFOMC声明
いよいよ日本時間20日早朝に、注目の米国FOMC声明が発表されます。明日の日本市場には、FOMC声明とそれを受けてのNY市場の動きが、完全に反映されます。先日のコメントでも書きましたが、本来は(少し前までは)、フィラデルフィア、ダラス、サンフランシスコなど各地区の連銀総裁が、次々とQE3縮小の早期実現をほのめかす発言をしていましたことからも、FRBは6月のFOMCではQE3の9月縮小12月終了をにおわすような声明を計画していた可能性が高いと思います。
しかし、QE3縮小、終了という、いわば異常な手法での緩和をフェードアウトさせていく、ということにすぎないにもかかわらず、ここ最近は米国金融緩和の出口論積極化、世界的な金融引き締め懸念、ということで、新興国通貨大幅下落など世界的に「リスクオフ」に過剰反応しました。とどめになったのが、先週火曜日の「空気が読めなかった」黒田会見です。外人投資家の多くは、日本の異次元緩和の本気度に大きな疑問符を持ち始めました。
歴史的にFRBは「市場との対話」がとても上手です。言葉を変えると、市場の空気を読むのが上手、ということです。今回のFOMCで、日本の官僚チックに計画を変えず、もし当初の計画通りQE3の9月縮小12月終了をにおわすような声明をしたならば、世界的にリスクオフ・パニックになりかねない、ということをFRBは強く認識していると思われます。今回予想される声明は
「経済状況などに合わせて、将来QE3の月ごとの買い取り額を調整する可能性はある。しかし、もしQE3が終了したとしても、それは金融政策が引き締めの方向に向かうことを意味せず、中期にわたりその後も緩和的金融政策を取り続ける。短期金利の引き上げなど、はるかに先のことになるだろう。」
です。予想というより、私の期待といった方がいいかもしれませんが。
そうすれば、世界的にリスクオフは後退し、混乱した市場は収束に向かうでしょう。日本にとってみれば、円安ドル高、日本株の戻りの方向です。さらに7月11日の次回の日銀決定会合で、異次元緩和の本気度を世界にアピールすることができれば、その流れに弾みがつき、7月21日の参議院前後にはドル円は100円、日経平均は14,000円程度まで戻るでしょう。
万が一、FOMCでQE3縮小、終了強硬論となり、リスクオフ・パニックになった場合、ドル円は92円割れ、日経平均は12,000円割れを覚悟しなければならないでしょう。しかしもしそうなったら、そこは絶好の買い場です。「戻りを取りに行くための買い」にすぎないわけではあるわけですが、戻りの大きさを考えると取りに行く価値があるからです。また戻りがある確度としても、7月11日に黒田総裁がまたコケる可能性はさすがにない、と考えられるからです。
FRBが私の期待にこたえてくれるかは、明日の朝になればわかります。早寝早起きしてFOMC声明発表の瞬間を見る、というのはまだしも、夜更かしするのはよくありません。昼間の集中力が格段に落ちて、ろくなことがありません。私はその瞬間を見ていても何もしようがないと思っているので、普段通りの時間に寝て普段通りの時間に起きます。
書いているうちに日本株は引け際にかけて上がってきました。あまり期待感が盛り上がると若干心配になってきます。