目先の安値めどとその後予想される展開
今日も日本株は大幅下落となり、日経平均の下落幅は500円を超えました。上げ過ぎた反動で下げすぎる、ということが、まさに現実に起こっているわけですが、目先の安値めどについて考えてみたいと思います。
まず、バリューションから考えてみます。以前お伝えした通り、日経平均の今期予想EPSは約900円です。米国や主要欧米諸国と同じPER16倍なら日経平均は14,400円、15倍なら13,500円となります。将来的には日本株は大幅にディスカウントされる可能性があるとはいえ、今の時点からそれが起こるとは思えません。この点から、13,500円以下は下げ過ぎの領域といえます。
次にテクニカルから考えてみます。今日現在の日経平均の25日移動平均線は14,405円、75日移動平均線は13,034円です。今後25日線は横ばいから徐々に下落に転じますが、75日線はまだ1日に25円位上昇が続きます。フィボナッチ・チャートでみると、昨年11月半ばから5月23日急落前までの上げ幅の61.8%ラインが、13,145円になります。また、4月半ばからの上げ波動のスタートは13,024円でした。これらのことから、13,000-13,100円は強いサポート・ラインと言えます。今日の引け値が13,262円でしたので、あともう少し下がってサポート・ラインが確認されれば、一旦の戻りはありそうです。
戻り幅ですが結論としては、そう多くは望めそうにない、と思います。本日、5月24日から5月31日の日証金信用残変化全体分析を行いましたが、相場下落にもかかわらず、ネット買い残(買い残から売り残を引いた株数)が全く減少していませんでした。高値でのしこり玉が全く整理されていない、ということです。一般信用を含めた信用合計での分析は水曜日に行いますが、需給面からは上値は相当重いと言えそうです。
投資家心理としてはどうでしょう。以前お伝えしたように、急落前までは下落リスクに非常に鈍感になり、目いっぱいのポジションを取っていたでしょう。ところが急落を受けて、下落に対する恐怖心が一気に呼び覚まされ、投資活動を止めてしまうか、活動を続けていてもポジション量は相当に縮小させているはずです。したがって、高値更新していた時の勢いと持続力のある上昇など、望みようがありません。
以前のコメントで戻りのめどはメイン・シナリオとしては15,000円手前、と書きましたが、25日線を超えるのは難しい、という見方に変更いたします。海外株上昇など好条件がいくつも重なれば15,000円手前までの戻りはあるかもしれません。しかしそれは結果論であって、狙って取りに行く水準ではないでしょう。頭としっぽはくれてやれ、の頭ということです。参議院選挙までのおよそ2カ月間は、75日線と25日線との間で、値動きの荒いボックス相場ということがメイン・シナリオです。
ここで強調したいのは、自分は筋金入りの投機家だと自負している方以外は、向こう2カ月間相場に参加すべきではなく、「見るも相場」を決め込んだ方がいい、ということです。ボックス相場の中での短期間の上げ下げを取る、というのは投機です。難しいのは、投機は通常順張りで行うのが原則ですが、ボックス相場を取りに行くのは逆張りでしかできない、ということです。
下落相場の入り口では、往々にして仕手株が乱舞します。投機資金が値動きの良い銘柄に群がるからです。実際、今日の売買代金上位を見ても、群栄化学、丸栄、極洋といった仕手株が入ってきています。投機資金が支配する「まともではない」相場に、まともな人が参加すべきではないと思います。