足元のドル円の動きについて
昨日NY市場で、ドル円はわずか30分間に98.5円から96円割れまで一気に円高進行しました。この動きの背景には、明らかに強制ロスカットによるドル・ロング解消があったと思われます。先日やはりNY市場で、100円を割り込んでから一気に99円割れまで円高進行したことがありました。その時はおそらく、投資家が自分で入れていた逆指値にヒットして起こったことだったと思います。しかし今回は、投資家の意思とは関係なく、F/X業者が自らを守るために設定している強制ロスカット水準(通常証拠金維持率20-30%に設定)に達し、機械が自動的にポジション解消をした、と思われます。
今朝起きてドル円レートを見て、びっくりしてF/X口座を見たらポジションがすべてなくなっていた、という人が多数出たと思われます。強制ロスカットにはならなかった人も、今日東京市場でポジションの縮小を行っている人は多数いることでしょう。
このことから言えるのは、目先の円高進行エネルギーは、今日の東京市場でほぼ出切った、ということです。ドル円を動かす可能性が高いイベントとして、今晩の米国雇用統計、6月11日の日銀金融政策決定会合、6月19日の米国FOMCがあります。日銀は積極金融緩和継続で円安政策、米国FRBはQE3縮小、そして終了でドル高政策ですから、円安ドル高の大きな流れに変化はありません。早ければ今晩の雇用統計で強い数字が出た場合、遅くともFOMCでQE3縮小への方向性がさらに強く打ち出された場合、ドル円は円安ドル高へ反転が始まるでしょう。
日経平均先物も、為替市場で円が急落した時に、イブニング・セッションで12,290円まで急落しました。これもかなりの売りエネルギーが放出されたわけですが、株の場合まだ現物の売り圧力は大量に残っており、一旦戻ったとしても上値は重いでしょう。上げ止まったらまた大幅下落、という展開も十分あり得ます。日本株に参加は無用です。もし参加するとしても、「戻りを取りに買う」では決してなく、「戻ったら次の下落に向けて売る」です。