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2014年10月17日のマーケット・コメント

ブラード総裁の「QE3終了先送り」発言の意図

 

昨日、米国株は欧州株の大幅下落を受けてNYダウは200ドル安で始まりましたが、緩和から引き締めへの政策転換に積極的な、いわゆるタカ派として知られるセントルイス連銀のブラード総裁が「QE3終了の先送りを検討すべきだ」と発言したことが伝わると、米国株は徐々に戻り、一時プラス圏に浮上し結局24ドル安で引けました。10月29日のFOMCでのQE3終了を予告しているFRBですが、はたしてQE3終了先送りはあり得るでしょうか。

 

私は、QE3は予定通り10月29日のFOMCで終了となると思います。では昨日のブラード発言の意図は何でしょうか。それは10月29日に向けて市場を鎮静化させること、だと思います。もし米国市場の混乱が10月29日まで続いた場合、予定通りQE3終了となった場合、市場の更なる急落に繋がるリスクがあり、後に「FRB暴落」などと言われるかもしれません。しかしQE3終了を見送った場合、市場が混乱しているからFRBは予定通りの金融政策変更ができなくなった、ということがあからさまになり、その後FRBの金融政策に対する信認が揺らぐリスクがあります。

 

当初QE3は2013年5月に、バーナンキ議長(当時)が2013年9月からの縮小開始を示唆していました。ところが市場での長期金利が上昇し過ぎ、更なる長期金利上昇リスクが取れなくなり、9月からの縮小開始を見送らざるを得なくなった苦い経験を、FRBは憶えているはずです。そこで今年のFOMCメンバーではないブラード総裁が気を利かせて、「QE3終了先送りを検討すべき」という、いわば目くらましを市場に投げて市場の鎮静化を図り、予定通り10月29日にQE3終了が決められる素地を作りに来た、と考えられます。したがって、エボラ感染急拡大などの波乱要因がなければ、10月29日に向けて米国株は戻りを試す可能性が高いと思います。

 

一方で、米国企業の業績発表が続いています。昨日もゴールドマン・サックスやeベイが発表を受けて売られました。これまで業績発表をした主力株のほとんどが、発表を受けて株価下落しています。今週は市場全体の地合いが悪かったという要因もあり、今後も発表を受けて株価下落という反応が広範囲にわたり続けるかどうかは微妙ですが、少なくとも株価の力強い反転の原動力にはなりそうにありません。

 

したがって、株式市場に対する基本スタンスは「戻ったら売り」、逃げ足(損切り)の速さに自信がある方は、目先の戻りを取りにトレーディングするのもいいでしょう。ただし、かつて株価が大幅上昇し、その後高値から相当下落する中で信用買い残が高止まりしている銘柄には、絶対に手を出さないでください。例を挙げると、ソディック、日本通信、バイオ株のような銘柄です。

 

ドル円は昨日105.51円で切り返しました。以前の高値抵抗線だった105.47円(1月高値)と同水準でサポートされたことで、「以前の抵抗線は新たな支持線になる」というチャート分析の基礎が機能する可能性が一段と高まったと思います。