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2014年10月21日のマーケット・コメント

企業にとって下期業績見通しは上方修正しにくい環境

 

昨日引け後に、安川電機(6506)が7-9月期業績発表を行い、日本企業の業績発表シーズンが始まりました。来週に本格化します。安川電機ですが、通期営業利益予想を275億円から300億円に上方修正しました。市場では、「会社側の業績見通しは控えめ。数多くの上方修正が発表される。」ということがコンセンサスになっており、とりあえず安川電機はその期待にこたえた格好になりました。果たしてコンセンサス通り、今後数多くの上方修正が発表されるのでしょうか。

 

安川電機の修正の内容を見ますと、上期の営業利益予想は130億円で、実績は149億円でしたので、上期実績は19億円の上ぶれです。通期の修正は275億円から300億円ですので、修正幅は25億円であり、大半が上期実績上ぶれ分であることがわかります。つまり、下期見通しはわずか6億円の上方修正にとどまっています。ほとんどの企業は来週以降に業績発表するわけですが、まさに先週今週に各企業は下期見通しをどうするか検討しています。エボラや世界景気見通しの下方修正などを受けて、波乱の市場環境が続く中、各企業は下期見通しを上方修正することを見送る可能性が高いと思われます。

 

各企業が最も避けたい事態は、一旦上方修正した後に下方修正することです。不透明要因満載の現段階で、そのようなリスクを取るインセンティブはなにもなく、独自要因がある企業以外は通期業績がほぼ見えた段階で修正を発表すればいい、と考えるでしょう。したがって、今回の業績発表でコンセンサス通り上方修正目白押しとなる可能性は極めて低いと言えます。

 

さて、株式市場は先週木曜日と金曜日のコメントでご説明した通り、とりあえず底打ち反転となっています。しかし上記のように「迫力」のある業績発表が期待できない以上、あくまでも「戻り」を試しているにすぎません。戻りのめどですが、米国株(S&P500)も日本株(日経平均)も200日線近辺まで戻っており、最低限の戻りはすでに達成したといえます。日経平均は最大限で75日線水準の15,500円近辺まで戻る可能性は否定できませんが、それは狙って取りに行くべき戻りめどではないと思います。むしろ、もしその水準まで戻ったら、絶好の売り場と捉えるべきでしょう。

 

ドル円は、来週のFOMCと日銀決定会合という2つのイベントまでは、106.50-107.50円でのもみ合い、早ければ来週のイベントで、遅ければ11月19日の決定会合で再び円安進行開始でしょう。