ミョウジョウ・アセット・マネジメント株式会社の運営する会員制金融情報サイトです。

2014年10月28日のマーケット・コメント

日本株は今週戻り高値を付けるか

 

先週の日本電産、ファナックから7-9月期業績発表が本格化しています。前回のコメントでご説明した通り、これまで業績発表を下ほとんどが「悪くはないが迫力不足」という内容です。これまでのところ、主要銘柄で発表を受けて株価が上昇したのは自社株買いを発表したJSR(4185)だけで、日本電産(6594)、ファナック(6954)、フジクラ(5803)、日立化成(4217)、キャノン(7751)など、通期の業績見通し修正が無かった、あるいは上方修正が期待ほどではなかった、という理由で、発表を受けて株価は下落しました。

 

これまでご説明した通り、国内では消費増税の悪影響の行方、海外では欧州、中国その他新興国の景気減速の行方といった先行き不透明感が多く、企業側の立場から考えると、この時期に「迫力のある」上方修正を発表するインセンティブは何もありません。したがって、今後も「悪くはないけど迫力不足」という内容の発表が続くでしょう。だとすると、業績発表は株価押し上げ要因どころか、発表が進むにつれて相場全体の押し下げ要因となっていくことが想定されます。

 

今週は、29日にFOMC、31日に日銀決定会合が控えており、先物を中心に売買する短期投資家は仕掛けづらいでしょう。米国市場の混乱が続いていれば29日のQE3終了が危ぶまれましたが、10月16日のセントルイス連銀ブラード総裁の機転を利かせた「QE3終了の先送りを検討すべき」という発言をきっかけに、米国市場は見事に修復され、29日のFOMCでは予定通りQE3終了が決められるでしょう。また、31日に発表される日銀の「経済・物価情勢の展望レポート」では、生産活動を中心に景気見通しが下方修正される見通しです。「QE3終了」=「利上げの時期に焦点」=「株価下落要因」、「展望レポートで景気見通し下方修正」=「株価下落要因」ですから、つまりイベントが終了する来週になると、世界的に売りが出やすい状況になると思われます。今週中に日本株は戻り高値を付ける可能性が高いと思います。前回のコメントで「最大限の戻りめどは15,500円近辺」とご説明しました。目先もう一段の上昇がありそうですが、昨日の高値(15,424円)ですでに戻り高値を付けた可能性も否定できません。

 

ドル円は、もし展望レポートの下方修正を受けて、市場が早期の追加緩和を織り込むようなら110円超えの円安進行、そうならない場合、11月19日の決定会合で(私の予想通り)追加緩和があれば、それを受けて110円超えの円安進行となるでしょう。