FOMC議事録&日銀決定会合
昨日NY時間に9月FOMCの議事録が発表されました。今回の注目点は「世界経済の減速や急激なドル高が、米国景気成長やインフレ回復の抑制要因になるリスクがある」とされたことです。これを受けて、早期利上げ懸念が後退し、米国株は大幅反発、ドル円は円高ドル安の反応となりました。9月17日の声明を受け、市場は「ハト派色が薄らいだ」と捉えましたが、その解釈が否定された格好です。
しかし私は、FRBの姿勢は一貫しており、そもそも9月の声明を受けて市場が「ハト派色が薄らいだ」と捉えたことが誤解だったと思っています。今回も「QE3終了後も低金利政策を相当期間継続する」という文言が残されましたが、同時に「相当期間継続という表現が、今後のデータ次第で利上げの時期が決まるということではなく、一定期間低金利政策を継続するという約束だと捉えられる懸念がある」ことも議論されたとあります。つまり、FOMCの方針は「10月29日でQE3は終了。その後は経済データ次第で利上げの時期を決める」ということで、量的金融緩和終了から利上げへという金融政策の方向性や利上げ時期の判断に変化はありません。
一昨日、日銀決定会合が行われ、生産活動を中心に経済見通しが下方修正されました。質疑応答で黒田総裁は「経済活動は日銀が想定していたより弱い。10月31日の次回会合で取りまとめられる展望レポートを見て、必要だと判断されれば追加的措置を講じる。」と発言しました。12月前半には10%への消費増税実行の決断が控えており、それを後押しするためにそれよりも前、つまり10月31日あるいは11月19日の決定会合で追加緩和が決められる可能性が出てきました。消費増税決断の後、景気失速懸念を払しょくするために追加緩和というシナリオだと、12月19日ということになります。いずれにせよ年内です。私は以前から年内の追加緩和を予想してきましたが、その可能性がかなり高まったと思います。積極緩和継続から拡大へという、日銀の金融政策の方向性にも変化はありません。
日米双方の金融政策の方向性に変化はないことから、ドル円は中期円安ドル高トレンド継続という見方で問題ありません。足元で、安倍首相が「円安がデメリットになる業者もいる」と発言したことや、今回のFOMC議事録で急激なドル高のリスクに言及されたことを受け、ドル円は調整局面となっていますが、108円近辺から下は買い下がり、というスタンス継続です。日銀の追加緩和発表で、当面の上値になっている110円を明確に抜けるでしょう。
ところで、米国株は乱高下を続けています。NYダウは今月に入り、16,700-17,100の間を乱高下しており、昨日までの6営業日のうち大陰線(大幅下落)が2本、大陽線(大幅上昇)が2本です。このような状況は、上下どちらに抜けることがあるとすれば下、上に抜けるためには時間をかけてボラティティの低下を待ってから、ということですので、目先に大きく動くとすれば下です。米国株が下抜け大幅下落となれば、日本株も少なからず影響を受けるでしょうから、警戒が必要です。