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2014年11月12日のマーケット・コメント

もはや「月内解散、年内選挙」はサプライズではなくなった

 

昨日から1日たって、「月内解散、年内選挙」は各メディアで報道され、安倍首相もその可能性を否定しなかったことから、すでに既定路線となりつつあります。したがって、市場にとってもはやサプライズではなく、昨日のコメントの最終段落は無視して下さい。

 

昨日のコメントで、

「問題は『何のための選挙』になるかであり、それは2つ考えられます。すなわち『消費税を8%から10%に引き上げるため』か『引き上げを先送りするため』です。」

と書きました。昨日からの報道を見る限り、残念ながらどうやら「引き上げを先送りするため」のようです。

 

いつの時代も解散して選挙を行う目的は、常に「今以上に議席を増やす」ことと「任期を4年に戻し延命を図ること」です。

 

もし選挙の目的が「消費税を8%から10%に引き上げるため」になるとすれば、野党はこぞって「足元の景気がこんなに弱く、国民が困っているにもかかわらず、さらに消費税を引き上げると言っている自民党および安倍政権は、国民生活に対する配慮が全くない。」と自民党批判を展開するでしょう。それでも自民党が勝つとは思いますが、議席は予想以上に減らす可能性が低くないでしょう。つまり、消費税を引き上げるつもりなのであれば、選挙などやらずに安倍首相が決断すればいいだけのことです。

 

ところが選挙の目的が「引き上げを先送りするため」だったらどうでしょう。自民党は「自民党および安倍政権は、経済情勢を見ながら柔軟な政策運営を行い、国民生活に十分配慮している。」と主張でき、野党はそれに対して鋭い反論を展開できなくなります。自民党は選挙に大勝利すること間違いなく、見事に「今以上に議席を増やす」ことと「任期を4年に戻し延命を図ること」が達成されます。

 

政治家も国民のほとんども、海外から「日本は財政再建には関心がない。日銀の積極金融緩和は、国を挙げてのモラルハザードの国家財政ファイナンス(中央銀行による政府の財政赤字の補てん)にすぎなかった。」と評価されてしまうことのリスク、およびそのリスクの恐ろしさなど、まったく理解していないでしょう。考えも及ばない、と言った方が適切でしょうか。

 

先物・オプション業者の空中戦は、明後日のオプションSQでとりあえず一服し、来週以降は「消費税引き上げ先送りのための解散・選挙」を織り込みに行くでしょう。ドル円は新たな円安ドル高ステージに突入です。日本株は、最初は国内証券会社を中心に「引き上げ先送りは日本株の上昇要因」と煽り、ごく短期的には上昇するかもしれません。しかしタイムラグを置いて海外からの批判が相次ぎ、中長期外人投資家が日本株売却を始めると、日本株市場に激震が走るでしょう。1991年から1992年に、日本の不良債権問題に関して、国内では「大したことはない」と言い続けていた中、海外からその問題の深刻さが相次ぎ指摘され、日本株が大幅に下落した時のことを思い出します。