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2014年11月17日のマーケット・コメント

「きっかけ」はGDPだった

 

先月末の日銀の追加緩和を受けて始まった、先物・オプション業者の空中戦相場は、14日寄りのオプションSQで、買い方勝利が確定し、あとは下落するための何かの「きっかけ」待ちという状況でした。言いかえれば、16,000円から17,500円までの上昇は、業績上方修正を伴わない実体のない部分でしたから、なにか「きっかけ」さえあれば、実体のない部分は急速に剥落しやすい状況だった、ということです。

 

今朝発表された日本の7-9月期実質GDPは、ネガティブ・サプライズとなる、まさかのマイナス成長でした。4-6月期に続き2四半期連続となるマイナス成長で、日本はリセッション入りしたことになります。(リセッション=景気後退局面。2四半期以上連続の実質GDPマイナス成長がその言葉の定義です。)今の日本の景気状況をどう呼ぶかはどうでもいいのですが、重要なことはGDP発表が実体のない上昇部分の剥落の「きっかけ」に、見事になったことです。

 

先物・オプション業者は、相場が上昇しなければ儲からないから常に相場に買いじかけをし続ける、ということは決してなく、上昇でも下落でも自分が別途した方向に大きく動けばいいのです。「きっかけ」がはっきり出現し、相場がはっきりと下落モメンタムを強めてしまった以上、先物・オプション業者は今度は下落にベットしてくる可能性が極めて高くなりました。今週どこかで売りじかけをしてくる可能性が極めて高くなった、ということです。そうなれば、先物・オプション主導の上昇相場の起点である16,000円までの下落は早いと思います。

 

ドル円ですが、本日のところは株安に引っ張られて円高方向への調整の動きとなっています。しかし、理屈からすると「予想外に弱いGDP→間違いなく解散・選挙で消費増税先送り→日本は財政再建化から大きく後退→強烈な円安要因」であり、円安ドル高進行はむしろ加速すべき状況です。したがって、条件反射組(いまだに株安=円高、という相関で動く人たち)の動きが一巡すれば、株安が続く中で円高進行が止まり円安進行に反転するはずです。つまり、ドル円の目先の調整は「ドルの絶好の買い場」と言えます。調整の下値めどは114円近辺ではないかと思っているのですが、底値で全部買おうとせず、割り切って階段状に買い下がりましょう。