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2014年11月20日のマーケット・コメント(2)

安倍首相が解散を決断した真の理由

 

このコメントは、マーケットとは関係ないので、単に変わり者が書いた読み物として扱って下さい。

 

今回、安倍首相が衆議院を解散、選挙に打って出る理由は、本人の会見でも報道でも「景気判断条項を撤廃して消費増税を18カ月先送りすること、およびアベノミクス全般に関して国民に是非を問うこと」が理由とされています。しかし、昨日のコメントで書いたように、それではなぜ国会審議ではなく解散・選挙をしなければならないのかという明解な理由にはなりません。

 

実は、解散・選挙をしなければならない理由が何なのか、私の中でずっともやもやしていましたが、一昨日の安倍首相の会見を聞いて、「なるほど!」と理由がはっきりわかり、すっきりしました。11月12日のコメントで

「いつの時代も解散して選挙を行う目的は、常に『今以上に議席を増やす』ことと『任期を4年に戻し延命を図ること』です。」

と書きましたが、もう一つ見落としていました。それは「たとえ議席が多少減ることになっても、掲げた選挙公約が国民の信を得たと主張できるようになること」です。

 

今回の場合、消費増税先送りやアベノミクスを問う、ということがいわば選挙の看板にされています。しかし選挙のマニュフェストには様々な項目が盛り込まれます。集団的自衛権に関する憲法解釈の問題も、米国との安全保障上の協力関係もそれに含まれます。選挙戦でまったく言及しなくとも、選挙で勝てば「マニュフェストに記載されていることすべてが、国民の信を得た」と言えるようになるのです。

 

つまり、「消費増税先送りとアベノミクスに対する信認という看板に隠して、集団的自衛権や米軍基地の問題をマニュフェストに混ぜ込み、国民の信を得たと野党に主張するための選挙」これが正体です。11月16日の沖縄県知事選で負けそうだ、ということが解散・選挙を行う大きな伏線になっていたのだと思います。マニュフェストに「安全保障に関しては、同盟国(米国)の意向も尊重しながら弾力的に対応していく」とでも書いておけば、「米国は沖縄の基地をこのように再編したいと言っています。自民党は選挙で、米国の意向を尊重するということを公約にしましたので、沖縄の皆さんには申し訳ないのですが普天間基地は辺野古に移設します。」と言えるのです。

 

安倍首相は2012年9月の自民党総裁選挙に先立ち、8月に訪米しています。これは私の勝手な想像ですが、その時に「私が首相になったら、大胆な金融政策を行おうと思っています。米国はそれに対して批判するようなことはしないでください。その代わり、集団的自衛権の見直しと、沖縄基地の問題は必ず解決しますから。」と密約があったと思っています。そう考えると、集団的自衛権に関して、安倍首相があれだけ熱を入れていたこと、そして今回の解散・選挙について、すんなりと納得できます。

 

安倍首相は選挙の勝敗ラインを「自公で過半数割れ(237議席以下)」としましたが、自民党内では絶対安定多数確保の270議席としたようです。現有議席は325議席。国民のほとんどが今回の選挙の本質に気付かずに投票するのでしょうが、結果はどうなるでしょうか?238-269議席だった場合、安倍首相は続投する意向を示すでしょうが、自民党内から「安倍降ろし」が始まると思われ、市場にも悪影響を与えるでしょう。