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2014年11月7日のマーケット・コメント

米国雇用統計に対して予想される市場の反応

 

米国株は、日銀の追加緩和による上げもあり、予想に反して最高値を更新してきました。「怖いから売りたいけど、周りが売っていないうちに自分だけが売って、更なる上昇から取り残されるのは嫌だ」という、1カ月前のチキンレースの状況に戻りました。つまり、10月前半のように、周りが逃げ始めたら自分も逃げる、という下落が更なる下落を作り出す状況であるということも同じです。10月前半の大幅下落の後、QE3が終了され、7-9月期企業業績は悪くはないが迫力不足、中間選挙で上下院とも共和党が圧勝で議会と大統領がねじれ状態、と色々なことがありましたが、どれも株を大きく押し上げる性質のものではありません。

 

今晩、米国雇用統計が発表されます。予想は非農業部門雇用変化は23.5万人増(前回24.8万人増)、失業率は5.9%(前回も5.9%)です。しかし、最近の強いマクロ指標を考えると、市場の実際の期待値はもっと上の可能性があります。最高値にある株を売るにはきっかけが必要です。雇用統計が強ければ、市場の期待通りにもかかわらず利上げが近いという話になり、雇用統計が弱ければQE3は終わってしまって景気先行きが不安という話になり、いずれにせよ雇用統計がきっかけとなり、米国株は再び調整局面入りする可能性が高いのではないか、と考えられます。

 

米国株が下落すれば日本株にも当然影響があるでしょう。しかし、米国株が大きく下落しない限り、来週木曜日までは高値もみ合いが続く可能性が高いと思われます。今週の日本株を見ていると、現物株を売買する投資家は決算プレー以外はお休み状態で、もっぱら先物・オプションの空中戦が展開されています。日中に突然上がったり下がったりして、その後にその動きが続かずまた突然戻るという動きが、空中戦を物語っています。10月10日のオプションSQの後、相場は激しく動きましたので、11月限りオプションのポジションは相当な厚みがあり、それをヘッジするために先物も激しく売買されているのでしょう。11月限りオプションは11月14日のオプションSQですべて清算され、オプションに伴う先物ポジションも同時に解消しますので、空中戦が終わる11月14日寄り以降は、日本株は素直に下落しやすくなると思います。

 

ドル円は微妙な局面に来ています。もし雇用統計が強くても、115.52円を超えなければ、当面の高値が確定しますが、115.52円を超えてくるようだと「今だ当面の高値確認されず」になります。雇用統計が弱く、ドル円が円高方向に反応すれば、昨日のコメントでご説明した、パターン通りの調整の始まりです。