2015年の注目点
本日で2014年の営業日も終わり、2015年相場に入っていきます。以下2015年の投資における注目点です。
1.円安進行は止められない
前回の「アベノミクスの正体」でもご説明したように、日本は長期金利の低位安定を図るために通貨下落を犠牲にしました。日銀の積極量的金融緩和に出口はなく、日本側の動きで円安ドル高進行を止める手段はありません。唯一、円安ドル高進行が止まるシナリオとしては、米国側の金融政策の変更、すなわち次のアクションが利上げではなくQE4だ、となることですが、現段階でそれを想定するのは非現実的です。たとえ米国以外の国々の景気悪化が米国経済にも悪影響を与え、QE4の可能性が浮上するとしても、それまでに1年くらいの時間がかかると思われ、その間に円安ドル高は更に相当進行しているでしょう。ドルロングの基本姿勢は堅持です。
2.円安の弊害噴出(国内景気悪化加速)
今年は円安デメリットによる企業倒産が多数あったようです。しかし来年は更に激増するでしょう。円安進行すれば輸入物価はきっちり上がるが、円安進行でも輸出は増えない、という事実に反論の余地はもはやないでしょう。ほとんどの国民、企業にとって円安進行はデメリットでしかないのです。円安進行により業績が押し上げられる代表的企業群が自動車完成車メーカーですが、それも他社が円安デメリットを負担してくれているからにすぎません。自動車の原材料が鉄だとすると、まず鉄鋼メーカーが鉄鉱石と石炭を輸入して鉄を作り、それを自動車部品メーカーが買ってきて部品にし、それを自動車完成車メーカーに売り自動車になります。つまり、自動車完成車メーカーの円安メリットは、鉄鋼メーカーと自動車部品メーカーが円安デメリットを負担しているからにすぎません。日本は資源が無いので、エネルギーも工業原料もほとんどが輸入から始まります。円安進行でも輸出が増えない以上、日本はもはや輸出立国ではなく輸入立国なのです。
3.新興資源国の財政破たん
原油を始め様々な商品価格が大幅に下落しています。これは需要が伸び悩む一方で、以前の資源ブームの時に行われた供給増加が重なって起こっているわけですが、資源会社は採掘コストを多少割れたくらいでは操業を停止したりしません。最終的には経営破たんにより強制的に操業停止に追い込まれるまで、泥試合は続きます。2015年はロシア、ベネズエラ、ブラジルなどで国家レベルの破たんが起きる可能性は高いでしょう。通貨防衛のために政策金利(短期金利)はすでに非常に高水準に引き上げられており、景気へのダメージは多大です。ロシア、ブラジルは欧州からの与信が多く、それらの国の破たんは欧州金融危機再燃の火種になります。特に、ブラジルに与信を多く出しているのは、今でもすでに疲弊しているスペインとポルトガルの金融機関です。もし一つの国が破たんすれば、新興国通貨はすべて暴落するでしょうから、破たんが連鎖する可能性も低くありません。ルーブル・ショックやアジア通貨危機が起きた1997年と同様の状況が想定されます。
4.円安ドル高進行でも日本株は下落に
上記要因から2015年は国内景気も海外景気も悪化が予想されます。それは日本の企業業績の悪化に繋がります。「株価は企業業績の鏡」という言葉通り、当然に業績悪化は株価下落に繋がります。円安進行が企業業績押し上げどころかほとんどの企業で押し下げ要因になり、資源価格下落や通貨下落により新興国経済が危機的状況になる中、日本企業の業績は時間の問題でピークアウトから減益へ、という織りこみを市場は始めるでしょう。下落するのは日本株だけではなく、新興国株式も欧州株式も相当下落するでしょう。下落幅は最も小さくなるとは思われるものの、米国株もそれなりの下落は避けられないでしょう。
以上を踏まえて2015年をうまく渡っていただければ幸いです。
今年もお世話になりました。来年もどうぞよろしくお願いします。
良いお年をお迎えください。