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2014年12月8日のマーケット・コメント

ドル円-押し目のない相場はないが、過去のパターン継続とは限らない

 

先週末の、予想を大幅に上回る非常に強い米国雇用統計を受けて、ドル円は120円の節目を明確に上抜け、121円台半ばに上昇しました。以前ご説明した通り、これまでドル円は105円、110円、115円と5円刻みに上値を切り上げてきましたが、今回はこのパターンが当てはまらなくなりました。

 

日本の貿易収支、経常収支を取っても、日米の金融緩和の方向性の違いを取っても、米国経済の回復力を取っても、ファンダメンタルズからは何一つ円高ドル安に向かう理由が無く、中期トレンドとしては円安ドル高進行で間違いないでしょう。しかし、どんな相場にも短期的な調整はあります。それは短期投資家のポジションが一方向に傾き過ぎ、それがほぐされることにより起こるもので、ファンダメンタルズとは関係ありません。その点からは、今後のドル円相場にも、いずれ必ず短期的調整局面が訪れます。

 

しかし、ドル円が中期的円安ドル高トレンドにあるのであれば、どの水準からどのくらいの値幅の調整となるのか、予想することは極めて困難です。同一水準で2度はね返される、という実際の現象をもって判断するしかありません。それまでは値ごろ感でドルロング・ポジションを減らすべきではなく、むしろある程度は機械的に買い上がるべきでしょう。125円まで行ってから3円幅の調整、かもしれませんから。

 

前回のコメントで、株高進行と通貨安進行の価格形成メカニズムは違う、ということをご説明しました。しかし直近で何人かの方から、「こんなチャート的に過熱感のあるところで買えない」という意見を聞きました。たしかにテクニカル分析重視派には、今ここでドル円を買う、ということに相当な抵抗感があるでしょう。そこであることを考えつきました。ドル円チャートを逆スケール、つまり上が円高、下が円安で見るのです。つまり、円を基準にドルの高安を見るのではなく、ドルを基準に円の高安を見る形にするのです。株の場合でも、問題がある企業の株価が下げを加速させながら下落していく、ということは珍しいことではなく、違和感も覚えないでしょう。

 

逆スケールの日足と月足チャートを添付しましたので、ご覧ください。

ドル円逆スケール20141208