明日の日銀決定会合は無風を予想
今日明日、日銀の決定会合が行われ、明日の昼過ぎに内容が発表される予定です。原油価格の暴落を受けて、将来の期待インフレ率の低下から日銀が追加措置を講じてくるのではないか、という期待が一部にあるようですが、明日の決定内容は「すべて現状維持」が予想されます。
理由は以下の通りです。まず、原油価格にせよ為替レートの変化にせよ、インフレに反映されるまでに約6カ月のタイムラグがあります。昨年8月からの原油価格の暴落は確かにインフレの下押し要因です。しかし一方で、昨年9月から大幅に円安が進行しており、それはインフレの押し上げ要因です。原油価格、円安進行ともに本格的にインフレに反映されるのは、来月再来月からであり、それらを反映したインフレの数字を見ないうちに先走って追加緩和をしてくるとは考えにくいです。
原油価格は過去6カ月で約50%下落しました。日本の輸入額は約80兆円、そのうち原油は約13兆円でした。13兆円の50%、すなわち6.5兆円がインフレ下押し要因となるわけですが、一方でドル円は過去6カ月で約15%円安進行しました。80兆円の15%、すなわち12兆円がインフレ押し上げ要因ということになります。つまり、インフレ下押し要因は6.5兆円、押し上げ要因が12兆円であり、押し上げ要因の方が上回るのです。原油価格にしても円安進行にしても、間接的影響も多々ありますから、それらの影響を受けた実際のインフレ数値を見極めるまでは、日銀は次の行動を取らないと考えられます。
もう一つの理由は、10月31日の追加緩和から、まだあまりにも時間がたっていない、ということです。中央銀行が金融政策を行う上で、信認を保つために最もやってはいけないことが、短期間のうちに政策を変更することです。2013年4月の異次元緩和開始から、2014年10月の追加緩和までは1年6カ月でした。異次元緩和から次の緩和までに少なくとも1年程度の経過観察期間を置くと考えられ、少なくとも今年前半に更なる追加措置が取られる可能性は極めて低いでしょう。
本日、東京時間では昨日の海外市場(昨日の米国市場は休場)よりも、明確に円安株高の動きとなっていますが、もしこれが明日の決定会合での再追加緩和を期待したものだとすると、明日の午後には失望売りとなる可能性が高いでしょう。