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2015年1月29日のマーケット・コメント

1月FOMC終了&異様に強い日本株の背景?

 

昨日米国で1月のFOMC声明が発表されました。利上げについては、引き続き辛抱強く(patient =焦らず)判断するとした一方で、米国景気の回復については、これまでの「緩やかなペース」から「着実なペース」と一段階表現が強気寄りに修正されました。また、リスク要因として「国際情勢」が挙げられ、回復シナリオが狂うとすれば、米国景気自体よりも海外要因による悪影響を米国経済が受けるリスクであることを示唆しました。インフレに関しては、「低下は一時的」と強気姿勢を維持し、「次は利上げ」というこれまでの金融政策の方向性に変化はないことを打ち出しました。

 

原油の大幅下落によりインフレ圧力が弱まったことや、欧州など海外情勢の更なる不透明か、加えて1月に発表された米国企業業績が迫力不足だったことなどから、市場では声明がハト派よりに修正されることを期待していましたが、声明が強気維持となったことから米国株式市場は大幅に下落しました。米国のエコノミストの利上げ予想時期は、多数派が6月、少数派が9月となっています。(6月よりも早いという予想、9月よりも遅いという予想はほとんどありません。)

 

それにしても日本株の強さには驚かされます。ファンダメンタルズが機能していない熱狂状態なわけではありません。昨日期待はずれな決算発表を行ったキャノン、コマツ、日立建機などはきちんと売られています。にもかかわらず、NYダウが2日間で500ドル以上下落した影響は、すべて吸収される形になっています。これは大口の買い手がいる動きとしか思えません。今日の日経新聞にも市場で「クジラ」と呼ばれるGPIFの買いに関する記事が掲載されていましたが、まさに今日本株を大口で買うことのできる投資家はGPIFくらいしか存在しません。

 

私は以前から「GPIFだって運用を行っている以上、自分で自分の運用利回りを悪くするリスクを取って、買い上がる形で日本株を増やすことなどするわけがなく、あくまでも下落時に買い下がるという形でしか日本株を増やしては来ない。したがって、GPIFの買いが下落のブレーキ要因にはなっても、上昇要因になることはない。」とご説明してきました。しかし今週振り返ると、火曜日は買い上がり、水曜日木曜日は買い支えです。想定外の動きということになるのですが、一つの可能性として今週が「月内最終週」ということが関係しているかもしれません。

 

日銀のETF買い入れも同様ですが、GPIFの資産配分変更も、当然「今年度末に日本株をxx%まで増やす」という計画があるのでしょう。さらにそこから逆算して1月末xx%、2月末xx%という中間計画があるはずです。公務員チックな人のメンタリティとして、「計画=ノルマ」です。12月に日銀のETF買い入れで、それまでの買い入れ決定ルールと明らかに違うルールで買い入れが行われたことがありました。GPIFも年明けて最初は「下落時に買う」としていたところ、月末が迫っても1月末の計画値まで、まだ買い増さなくてはならない余地が大きく、やむなく今週毎日のように買い増しを行っている、ということなのではないでしょうか。言い換えれば「安く買う」よりも「1月末の計画達成」を優先するという、いかにも「他人のお金」を扱っている公務員ならではの判断なのでしょう。「自分のお金」を運用されている皆さんには、考えられない判断だと思います。

 

上記の想像が正しいとすれば、月が変わる来週以降は、買い方は平常状態に戻る、と想定され、またこのハイペースの買い増しを考えると、今年度末(3月末)の日本株配分比率計画値は新基準の25%なのではないでしょうか。そうなるとその後はそう簡単に買い増すことはできなくなり、4月以降に「大口の買い手」が買わなくなることから起こる明確な需給変化が市場に訪れることになるでしょう。一つだけ確実なことは、国債を買い入れている日銀の資金は無尽蔵だが、日本株を買い増しているGPIFの資金は限りがある、ということです。そしてもう一つ確かなことは、GPIF資金の所有者は国民であり、決して国ではない、ということです。だから国にとっては「他人の金」となるのでしょうが。